蝙蝠岳・塩見岳・間ノ岳・農鳥岳 山行記録 #1/42004年8月11 - 14日 蝙蝠岳は南アルプスのほぼ中央に位置する2864.7mの山で、塩見岳からの派生尾根にあって主脈から外れているため訪れる人は少なく、誰にも邪魔されずに展望のよい稜線歩きができる。二軒小屋から蝙蝠岳を越えて塩見小屋までは約11時間のコースタイムを要し、途中に小屋やエスケープルートなど無いので、テントの装備が必要である。この憧れの稜線を歩いてみたいと、昨年の夏から思い描いてきた。折しもペルセウス座流星群の極大期であり、稜線から星空と流星を観望してみたいという欲もあって、3泊4日のテント山行を計画した。 |
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第1日 (8月11日) 武蔵境4h43m−(中央線)→ 甲府6h41m/6h44m −(身延線特急「ふじかわ2号」)→ 身延7h30m −(乗過ごし)→ 富士宮8h08m/8h54m −(身延線特急「ふじかわ1号」)→ 下部温泉9h47m −(タクシー)→ 田代入口10h30m → 田代発電所11h49m → 保利沢出合14h07m → 転付峠直下の水場16h32m → 転付峠16h50m 第2日 (8月12日) 転付峠 → 二軒小屋 → 蝙蝠岳 → 雪投沢 第3日 (8月13日) 雪投沢 → 熊ノ平 → 三峰岳 → 間ノ岳 → 農鳥小屋 第4日 (8月14日) 農鳥小屋 → 農鳥岳 → 大門沢下降点 → 奈良田 |
ドジを踏んで、田代入口に2時間遅れの10h30mに到着。二軒小屋までたどり着くのは無理だから、今日は転付峠に泊まることにしよう。蒸し暑い中、雲間から降り注ぐ陽光が強烈だ。日焼け止めをしっかりと塗り、サングラスを掛けて出発。バス停から一旦東側への道を辿り、橋を渡ってトンネルの上を乗り越えて西へと進む。 |
少し行くと糸魚川−静岡構造線(フォッサマグナの西縁にあたる断層)の露頭があり、解説の石碑も設置されている。東側から北米プレートが潜り込む圧力によって、西側のユーラシアプレートが押し上げられている現場だ。斜めに走る断層の左上が四万十帯瀬戸川層群、右下がフォッサマグナの巨摩層群である。 参考 : 大鹿村中央構造線博物館 |
結構な傾斜のついた、照り返しの強いコンクリートの林道を1時間以上登る。サルの群れが林道の中央でたむろしているのに出くわす。多くのサルは私を見て逃げたが、最後まで泰然と居座っているヤツはボスだろうか。 |
11h49mに田代発電所の分岐に到着。右へ進んでヘアピンカーブを登った先から山道に分け入り、内河内川に沿って進む。河岸の崖を削った道では岩清水のシャワーを浴びる。沢筋に掛けられている橋は、板が薄くて腐りかけているものもあって、踏み抜きが不安だ。それぞれ番号が振られていて、100近くまであったように思う。鉄製の橋には「耐荷重150 kg」とか「耐荷重400 kg」などと記されている。 |
この沢には滝も多い。道が沢を高巻くと、滝によって沢の高さが道に追いつく、というのを繰り返しては高度を上げてゆく。東電管理小屋の手前で降りてくる人とすれ違う。入山して初めて会う人だ。14h07mに保利沢出合に建つ東電管理小屋に到着。小休止していると、保利沢方面に架かる吊橋から釣竿を携えた人が通り過ぎる。 |
やがて道は沢筋を離れ、落葉松が植林された斜面を登る。沢の涼風がなくなり、汗で全身がびしょ濡れだ。16h32mに転付峠手前の水場に到着。ここに幕営中の二人のパーティに出会う。転付峠の幕営地の様子を教えてもらう。この二人は笊ヶ岳を今日歩いてきて、この後白峰南嶺を北進するのだという。エキスパートにだけ許された道なき稜線歩きで、すごいです。明後日に農鳥小屋に幕営予定というのは私の予定と同じなので、「再会できるといいですね」と言って立ち去る。 |
転付峠に16h50mに到着。ここの峠には林道が通っているが、笹に覆われていて、しばらく車の通行がなかった様子。林道を北に進むと展望台があるので行ってみる。雲の切れ間から悪沢岳がちらと片鱗を見せる。晴れていれば素晴らしい展望なのだろう。南に3分ほど行くと二軒小屋への下降点があり、その向かいにはトイレと5張は可能な幕営地がある。比較的視界も良い場所であり、流星観望にも適しているので、ここに幕営。びしょ濡れになった靴下やバンダナ、それに下着まで脱いで干す。他に誰もいないので素っ裸でも大丈夫。夕食はサラスパ+プチパスタ(イカスミソース)というマンネリメニューに、ほうれん草ベーコンスープ。霧が出てきたので干している物を取り込む。暑いので寝袋を使わずに就寝。 |