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単年度会計の壁



2月末に受理された論文の掲載料(*1)を科研費(科学研究費補助金)で支払おうとしたところ、事務から「できない」と言われて困った。掲載料の請求は受理されてすぐのことで、30日以内の支払いが求められている。一方で論文が印刷されるのは6月のこと。大学の会計は前払いができず、納品後に支払う掛売りが原則(*2)だから、現時点での支払いができない。こういうときは研究者が立て替え払いをして納品(この場合は掲載号の発行のことですね)後に振り込まれるのだが、あいにく年度をまたいでの立て替え払い処理は規則でできないとのこと(*3)。単年度会計という悪習の壁ですな。論文誌と大学それぞれの頑ななマイルールの間に挟まれたデッドロック状態。
「こういう事例って、これまで無かったのですか」と事務に尋ねても「知りませんねぇ」の一点張り。きっと同じ壁に当たった研究者は多くいるのでしょうね。研究推進を謳いながら足下で対応がとれていない…なんてことはありふれてもう驚かなくなりました。
やむなく、論文誌に「掲載料の支払いを4月1日まで待ってください」と連絡中。その分掲載が遅れるんだろうな。仕方ない。

*1 多くの論文誌は、論文を掲載するために著者が掲載料を払う必要があります。「原稿料をもらえる」わけではなく、その逆です。あまり知られていないようなので念のため。今回の論文は1ページあたり105ドルに加えて、カラー図版の代金がかかり、計960ドルほど。円高の今がチャンス。
*2 官公庁はこれが当たり前だと思っているところが痛々しい。前払いしたけど業者が潰れて納品されないというリスクを避けたいのは分かるけど、業者からすれば納品したけど支払いが遅れるリスクを背負わなくてはいけない。そのリスクプレミアムを価格に上乗せされて、大学の購入価格は市場価格より若干高くついてる。大学も潰れる時代に、掛売りの信用があると思っているのだろうか。
*3 2008年4月1日以降、規則が改正されて年度をまたぐ立て替え払いができるようになるそうな…遅いよ!

Posted: 火 - 3 月 18, 2008 at 07:38 AM      コメントを読む/書く


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