蝙蝠岳・塩見岳・間ノ岳・農鳥岳 山行記録 #3/42004年8月11 - 14日 蝙蝠岳山行三日目。塩見岳にてご来光を眺めてから、仙塩尾根南部を踏破し、間ノ岳を経て農鳥小屋にたどり着く。仙塩尾根南部は高茎草原に周囲の高峰が映える絶景が続く素晴らしい散歩道。間ノ岳からの展望も申し分なく、感動と充実の一日。 |
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第1日 (8月11日) 田代入口 → 転付峠 第2日 (8月12日) 転付峠 → 二軒小屋 → 蝙蝠岳 → 雪投沢16h00m 第3日 (8月13日) 雪投沢4h00m → 塩見岳5h14m/5h45m → 北荒川岳7h10m → 新蛇抜山北の露岩8h30m → 熊ノ平9h47m/10h15m → 三峰岳11h50m/12h05m → 間ノ岳12h57m → 農鳥小屋13h55m 第4日 (8月14日) 農鳥小屋 → 農鳥岳 → 大門沢下降点 → 奈良田 |
2h30mに寒さで目が覚める。腹に燃料を注ぎ込むべく、餅と切り干し大根とワカメをぶち込んだみそ汁を食べる。ペルセウス座流星群の輻射点が昇ってきて、流星数も20分間で20個を数えるほどに多い。 3h00mに撤収を開始。寒風にバタつくテントが吹き飛ばないように注意しながら畳む。4h00mに出発。 |
稜線までザックを担ぎ上げてデポし、空身+三脚を携えて塩見岳を目指す。すでに東の空が橙色に染まり始めている。5h04mに塩見岳の直下にてご来光を迎える。塩見岳がモルゲンロートに染まり、山頂に集う人たちの歓声が聞こえる。 |
5h14mに塩見岳東峰に登頂。朝日を浴びた山々の展望が素晴らしい。はるか仙丈ヶ岳まで続く仙塩尾根を見通す。これから歩く間ノ岳までの路程がよくわかる。南に目をやると悪沢岳などの荒川三山が斜光線に映える。南東には蝙蝠岳と富士山。南西には三伏峠から烏帽子岳・小河内岳と経て荒川岳へと続く稜線が美しい。 |
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5h45mに山頂を後にし、デポ地に戻る。6h40mにザックを背負って出発。昨日より有意に軽く感じられるのは、熊ノ平で給水できるので手持ちの水を1リットルにまで減らしたのと、重い食糧を消費したためだろう。 |
2542mの最低鞍部に向けた下りはダケカンバやハイマツの林を行く。すれ違う熊ノ平方面からの登山者多数。さすがに混雑するシーズンだけある。最低鞍部のコバイケイソウの密生する高茎草原は間ノ岳の借景が素晴らしい。新蛇抜山への登りからは、大井川東俣を取り囲む山嶺の展望が素晴らしい。新蛇抜山北側の露岩に8h30mに到着。間ノ岳や農鳥岳が目前に迫り。いよいよ気分が盛り上がる。 |
熊ノ平小屋に9h47mに到着。ついに、3年越しで仙塩尾根を全線歩いたことになり、内なる達成感に酔う。ここのテラスを借りて休憩。カロリーメイトの行動食を食べる。出会った6人くらいのパーティは、今日は北荒川岳のキャンプ地まで歩いて、その先の塩見岳を目指すそうだ。「雪投沢の幕営地は美しくて素晴らしかったですよ」と、余計なお世話を申し述べる。 |
10h15mに出発。小屋の前より幕営地の方が美味しい湧き水が出ているので、そちらで4リットルを給水。ザックがずしりと重くなる。熊ノ平のお花畑では、ふくたさんのサイト「美しい散歩道」で紹介されていたミヤマアケボノソウやタカネコウリンカを見つけた。 |
三国平までの急登を汗をかかないようにゆっくりとこなす。11h00mに農鳥小屋方面へのトラバース道を左に分け、三峰岳へ向かう。間ノ岳の山頂を見上げ、その高さと荷物の重さにくじけそうになるが、頑張らなくてもいつかは着くだろう。かなりへばってきているので、歩幅を靴長程度に細かく刻み、呼吸を意識的に荒くする。 |
ゆっくりと着実に高度を詰め、11h50mに三峰岳に到着。間ノ岳の肩にあるコブのような山頂だが、ここを通るといつもそれなりに感慨深い。南北両側の仙塩尾根を見通すことができるからだ。自分が苦労して歩いた道を俯瞰すると感激もひとしお。キベリタテハがやって来て、ザックが含んだ汗を吸っている。12h05mに出発。 |
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ゆっくりとした持続可能なペースで間ノ岳へ向かう。もうすぐ山頂だ。たくさんの登山者が集う山頂の奥からガスが湧き上がってくるのが見える。午後だから当然なのだが、「もうちょっとだけ待って」と祈るような気持ち。でも、焦ってペースを乱すと却って遅くなるので慌てない。12h57mに登頂。標高3189mで今回の最高峰だ。2年前に登頂したときにはガスで展望が得られなかったが、今回は大展望だ。歓喜に溢れ、写真を撮りまくる。北岳が鋭角に見える角度で格好良い。南方向の農鳥岳や塩見岳・蝙蝠岳、それに荒川岳や赤石岳が見通せて感激。 |
山頂付近の多重山稜地形も興味深い。あまりにも大きい間ノ岳は、自重に耐えかねて何回も断層がずり落ち、このような多重山稜になったのだといいう。白峰三山の盟主は、北岳より間ノ岳の方が相応しいと思う。その多重山稜の東縁を急降下して、農鳥小屋に向かう。人気のコースだけにすれちがう登山者多数。 |
13h55mに農鳥小屋に到着。小屋の主人が、「ごくろうさん、テントですか」と出迎えてくれた。受付を済ませ、幕営地の案内を受ける。小屋の南東のサイトはトイレには近くて便利だが十数張があって混雑している。まだ誰もいない北側の鞍部は、風が集まりやすい地形だから他の人が避けるのだろうが、静かだし眺めが全方位素晴らしい場所なので、ここに設営する。まずはテントの中でお昼寝。涼風が吹き渡る中で気持ちよく眠り、かなり疲労がとれた。騒音で目が覚めると、隣に中高年パーティがテント設営を始めている。作業の指示の掛け声や設営後の乾杯の声は、もう少し控えめにしてくれるといいんだけど。まあ、私もお腹が空いたので夕食にしよう。アルファ米にお湯を注いだ久しぶりの白いご飯と、切り干し大根やワカメを投入したみそ汁。銀舎利っておいしいなぁ。 |
食欲を満たしたら、農鳥小屋の展望地にカメラと望遠レンズと接眼部を持って、眺めを楽しみに行く。鳳凰山のオベリスクがよく見えて嬉しい。 |
A教育大の8人くらいのパーティが、大型テントを二張、私のテントの目の前に設営している。他にもたくさん空き地があるのに、何も私のテントのそばに張らなくてもいいではないかと思ったが、文句を言うほどのことでもないので仕方ない。比較的マナーの良いパーティで、騒音に悩まされることがなかったのは幸いだが、富士山の眺望を塞がれたのは残念だ。風にバタつくテントの中で眠りに就く。 |