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天文学会2006春季年会第3日 



この日も他の人の発表を聞くだけで気分は軽い。ポスターセッションでも自分のポスターに関心を持ってくれた人がいて、詳しくご説明できてよかった。ひときわ眼を引いたポスターの発表内容は、早稲田大学の那須電波観測所が発見した未知のトランジェント(突発性)電波源。1 - 2日でフラックス密度が1 Jyを超えるまでに増加し、わずか1日で消えるという変動の速さ!こんな性質の電波源、誰も知らないぞ。新種の天体の発見かもしれない。ともかく、IAU circular (国債天文連合回報) への報告を進言しておきました。うーむ、久々にワクワクする謎の天体だ。
会期を〆る夕方の特別セッションは「スペース天文学」について。天文学におけるスペース(宇宙空間)からの重要性は増す一方だというのに、日本の宇宙計画は縮小を余儀なくされており、天文コミュニティと宇宙開発分野との間には意識のギャップがある。そこを相互理解しようというのがこのセッションの主旨だ。宇宙開発側からは、JAXA (宇宙航空開発研究機構)のT氏が登場し、「国民の宇宙開発に対する期待は、アンケートによると『防災』や『地球環境』が重視されており、科学や探査に対する期待はあまり大きくない」という主張がされた。迎え撃つ天文コミュニティは、光赤外と電波の観測でスペースが必要であるという主張と、海部台長からの日本の宇宙開発への提言とでT氏の発表を挟み撃ちにするという構成だ。天文学会という土俵だけに、T氏にとってはアンフェアに思えたかもしれない。とはいえ、宇宙開発を大衆迎合だけで進めても仕方ない、という海部さんの主張は尤もだ。単に日本国内での意識に捕らわれるのでなく、人類に共通な知的財産を構築するという目標を指向するのも、遠回りだけど日本にとっての「国益」ではないですか、Tさん? 

Posted: 水 - 3月 29, 2006 at 07:24 AM      コメントを読む/書く


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