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機長の腕と話術に脱帽 



鹿児島空港から羽田へ向かうANA便に乗り込む。霧島連山を間近に見ることができる左窓側席(A席)を確保できて、ワクワクする。飛行機がエプロンを離れると、機長からのアナウンス。
「ご搭乗の皆様、機長のYです」
「使用機材の到着が遅れ、完璧な安全点検と十分な燃料補給を迅速に行いましたが、出発が5分ほど遅れたことをお詫び申し上げます。安全の許す限り運行回復に努めます」
「本日は鹿児島空港の抜けるような青空が皆様を,歓迎し、間もなく山麓を錦紗に染める霧島連山, ときおりいたずらに噴煙を上げる桜島, そして『実ほど頭を垂れる稲穂かな』黄金色の鹿児島の田園風景が皆様を見送っております」
饒舌なY機長さんの話に、機内がざわめく。楽しいけど、滑走路に向けてタキシングしているときにこんなにおしゃべりで大丈夫だろうか。
やがて離陸。1年半前に歩いた霧島の縦走路を機上から確認できるのは至福の喜びだ。ここでまたY機長から
「ベルト着用サインが消えましたが、ときおり天使の戯れで揺れることもありますので、着席の際はシートベルトをしっかりお締めください」
「なお、気流の影響で揺れましても、飛行機の安全にはまっっっっっ(2秒間タメ)っったく影響ありませんのでご安心ください」
というアナウンスに、客室がざわざわする。
伊勢湾を過ぎる辺りでまたアナウンス。
「当機は現在高度7700mを、完璧に運行しております」
「この時期にしては強いジェット気流の追い風を受け、時速1,000 km, 秒速にしますと280mで進んでいます。1秒間に東京タワーの高さ330mのほとんどを過ぎる速さです」
「まもなくしますと左手には日本一長い遠州灘, そして霊峰富士が皆様をお迎えいたします」
客室の皆さんもY機長のアナウンスに慣れてきたようだ。
やがて房総半島を巻いて高度を下げてゆく。通り過ぎた熱帯性低気圧の影響で風が強く、スクリーンに映る滑走路が左右に振れる。これは着陸が難しそうだなぁ。しかし接地の瞬間をちょうど水平に保ち、滑るように滑走路に降り立った機体は、スムーズに減速して誘導路へと進んだ。なんて見事な着陸。心の中でBravo!と喝采していました。しかも出発時の5分の遅れを挽回し、定時に到着しているのですね。乗客の皆さんが口々に「面白かったね」「うまかったね」と讃めていました。
Y機長さん、あなたの名前は覚えましたよ。
 

Posted: 土 - 10月 7, 2006 at 09:04 PM      コメントを読む/書く


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