大沢山

大沢山・本社ヶ丸 山行記録

2005年4月23日


大沢山は、笹子峠の南に位置する1460mの山で、1/25000地形図には山名表記のない地味な山です。北西に延びる尾根は、地形図に登山道の表記はありませんが、踏み跡がしっかりしていて歩きやすいルートです。ここから清八山, 本社ヶ丸へと続く稜線は展望に優れたコースで、整備もしっかりとしています。駅から歩き始められるアクセスのよい山道ですが、あまり知られていないためか歩く人は少なく、静かな山歩きを堪能できる場所です。

武蔵境4h43m−(中央線)→ 笹子駅6h06m → 奥野稲村神社6h35m → 大沢山8h35m/45m → 八丁山9h59m → 清八山10h22m/30m → 本社ヶ丸10h58m/11h30m → 角研山12h18m → 船橋沢分岐12h35m → 笹子駅13h54m

経路図はこちら

previous山行記録一覧へ

奥野稲村神社

奥野稲村神社の右脇から入山

3h30mに目覚めると月と木星が月の視直径にまで接近している。身支度をして4h10mに出発。4h43m武蔵境発の中央線始発に乗る。6h06mに笹子駅着。準備体操して歩き始める。
追分までは国道20号線の歩道を、猛スピードで過ぎ去るトラックに怯えながら歩く。ガマンの時間だ。笹子鉱泉付近で左折してからわずかな歩きで6h35mに奥野稲村神社に到着。無事を祈願して参拝し、神殿の右脇から入山する。

最初からかなりの急登。5分ほど斜面のつづら折れを登ると尾根に達し、ここからは稜線をひたすら登る。地図にないルートで、道標などは一切現われないが、踏み跡はしっかりしているし、地形も単純で分かりやすいので、迷うことはないだろう。

大沢山北東尾根

大沢山北東尾根はこんな道が続く

送電鉄塔から清八山方面

送電鉄塔から清八山方面を望む

6h48mに標高760mの送電鉄塔を通過。檜林の間から、清八山 − 本社ヶ丸の稜線がちらと見え、やる気が増す。7h02mに899m標高点を通過。一旦870mまで下った後に再び登りに転じる。ミズナラやトチなどが混成する多様な林相の中、陽が差す明るい稜線を歩くのは楽しい。ミツバツツジも随所に咲いているし、メジロの囀りも賑やかだ。

まだ囀りの下手なウグイスがいるなぁ…と思ったら、その姿を見ることができた。「ホー」と伸ばす所で背伸びし、「ホケキョ」で身を縮める仕草が可愛らしい。

メジロ

メジロ

ウグイス

ウグイス

ウグイスの囀り

盛んに啼いてました

7h20mに940m標高点のある送電鉄塔を通過。新山梨変電所を左手に見下ろすことができ、その先には清八山 − 本社ヶ丸の稜線が聳える。急登が続くけど、心拍数90程度を守りながらのんびりと登る。右手には冠雪の金峰山が望める。今日は空気の透明度が高く、山岳展望が楽しめそうだ。めざす大沢山の山頂も垣間見えるようになってきた。

樹間から金峰山

樹間から金峰山を望む

8h02mに、東面一帯が伐採された植林地に出る。強い陽射しを浴びる道端にはスミレが多種。種の同定は…難しいです。

タチツボスミレ

タチツボスミレ

オトメスミレ

オトメスミレ(?) あるいは マルバスミレ(?)

アケボノスミレ

アケボノスミレ

大沢山に登頂

大沢山に登頂

標高1200mを過ぎると、植生はブナやカラマツが多くなってくる。左前方にある標高1445mの送電鉄塔の高さが目安となり、もうすぐ山頂に近いことを感じさせる。8h34mに清八山からの稜線に合流。「←大沢山約5分」と書かれた指導標が立つが、山頂まではものの30秒だ。8h35mに標高1460mの山頂に到着。

大沢山から望む富士山

大沢山から望む富士山

富士山

富士山

赤石山脈

赤石山脈

ブナに囲まれた山頂だが、富士山の方向だけ刈り払いされていて、大迫力の霊峰を望むこととができる。樹間から、御坂黒岳や釈迦ヶ岳、その先に赤石山脈の展望も得られる。富士山を眺めながらゼリーを食べて一服。山頂標識もベンチも真新しく、最近整備されたらしい。

大沢山を振り返る

大沢山を振り返る

8h45mに山頂を後にする。標高1372mのコル(女坂峠)を8h57mに通過し、登返して標高1445mの送電鉄塔に9h08mに到着。ここは眺めが良く、大沢山の山容が把握できる。

白峰三山や甲斐駒、それに奥秩父や大菩薩連嶺の展望が見事だ。これから歩いてゆく、清八山や本社ヶ丸方面の稜線も手に取るようだ。

大菩薩連嶺

大菩薩連嶺を望む

釈迦ヶ岳の背後に悪沢岳・赤石岳

釈迦ヶ岳の背後に悪沢岳・赤石岳

カラマツの若木が多い稜線を進む。急登箇所にはプラスチック製のステップが設置されるなど、よく整備された道だ。9h28mに標高1470mの分岐で送電線巡視路を右に分け、左折する。標高1531mピークに9h37mに到着。北西側が刈り払いされていて眺めがよく、富士山, 御坂山塊, 赤石山脈の大展望だ。送電線が写野に入ってしまうのが玉に瑕。

大栃山と白峰三山

大栃山と白峰三山

9h54mに八丁山方面の分岐に到着。「八丁山→約10分」と記す道標にザックを置いて、行ってみよう。ものの5分で岩頭のピークに到着。山頂標識のようなものはないが、ここが八丁山だろう。やはり展望の優れた場所で、特に三ッ峠山が目前に迫り迫力ある。東には丹沢の山々が柔らかな陽を浴びている。西に眼を転ずると、八ヶ岳や飛騨山脈まで見通すことができた。やまおたく心が刺激される。

八丁山から望む清八山

八丁山から望む清八山

清八山からのパノラマ

清八山からのパノラマ

デポ地に戻り清八山をめざす。細かなアップダウンをいくつか過ぎると、コンクリート擁壁に支えられた植林台地に到着。昨年2月に歩いた三ッ峠山方面への道を右に分ける。清八山には10h22mに到着。展望はやはり素晴らしく、パノラマ写真を撮りまくる。空腹を覚えるがパンで凌ぎ、本社ヶ丸まで昼食はガマンしよう。

10h30mに出発。5分程の歩きで清八峠に到着。昨年2月に登ってきた新山梨変電所からの道が合流する。本社ヶ丸へ進む道で、夫婦と見られる中年パーティとすれ違う。今日初めて会う登山者だ。本社ヶ丸一帯は露岩が多く、岩場の登りを楽しむことができる。岩頭からは展望も楽しめ、退屈することがない。

こんな岩場もある

こんな岩場もある

本社ヶ丸手前の露岩からのパノラマ

本社ヶ丸手前の露岩からのパノラマ

標高1630.8mの本社ヶ丸山頂に10h58mに到着。無人の山頂で山岳展望を独り占めだ。歩いてきた、大沢山に至る北東尾根がよく見える。今日何回目か分からないパノラマ写真を撮りまくってから、昼食にしよう。

大沢山北東尾根

大沢山北東尾根のルート

FLASHが表示できない方はこちら

茹でたサラスパにレトルトのソース(プチパスタ クラムチャウダー)をかける定番メニュー。ガサツな私は、こんなふうにレトルトパックとパスタを一緒に温めます。茹汁はスープに利用。食事の準備をしている間に、男性の単独行者と夫婦のパーティ2組みが到着して、狭い山頂はそこそこの賑わいとなった。

茹でてます

茹でてます

本社ヶ丸の疎林帯

本社ヶ丸の疎林帯

11h30mに出発。本社ヶ丸東峰との間は芝草の生える疎林帯で、野鳥も多く見られるこういう場所は歩くだけで幸せな気分だ。コガラやヤマガラを、間近から撮ることができて嬉しい。

コガラ

コガラ

ヤマガラ

ヤマガラ

ヤマガラの囀り

ヤマガラの囀り

「からかさ岩 − 宝鉱山バス停ニ至ル 約3キロ」という標識の立つ分岐を右折して、鶴ヶ鳥屋山方面へと進む。ミズナラの多い明るい林の中をずんずん下る。標高1370mの送電鉄塔を12h00mに通過。都留方面への道を右に分け、角研山方面へと進む。
標高1377mの角研山を12h18mに通過。山頂標識は見当たらないが、「本社ヶ丸・清八峠」「鶴ヶ鳥屋山」を指す指導標は立っている。いくつか小ピークを過ぎながらも降りてゆくと、ヤグラ跡に12h33mに到着。林業で使っていたリフトだろうか、残骸が放置されている。目印にはなるけど、こういうのは使い終わったら片付けてほしいものだ。

ヤグラ跡

ヤグラ跡

船橋沢方面への分岐

船橋沢方面への分岐

ヤグラ跡から2分程で鶴ヶ鳥屋山と船橋沢・笹子駅方面との分岐に到着。鶴ヶ鳥屋山も行ってみたいが、その先の地図を持ってきていないので、計画通りに船橋沢方面へと下ろう。
斜面をトラバース気味に急降下し、やがて尾根に合流する。標高1300m付近では新緑にはまだ早いが、キブシの花がアクセントを添えてくれる。

キブシ

キブシ

林道から登山道への取付

林道から登山道への取付

踏み跡のしっかりした歩きやすい下り道。やがて右手に林道が見えてくる。12h55mに標高1100m付近でその林道を横断。この辺りまで下ると新緑の潅木帯。若葉が萌え、ツツジやヤマザクラが咲く中を降りてゆく。

新緑萌える山肌

新緑萌える山肌

ミヤマエンレイソウ

ミヤマエンレイソウ

やがて稜線を離れて船橋沢へと急斜面のつづら折れ。檜林が現われると船橋沢に到着。上流から続く水道管の脇には、ミヤマエンレイソウが可憐に咲いている。沢を何回も徒渉しつつ、沢筋を下る。滑滝もあって、沢登りをする人には楽しそうな場所だ。

船橋沢

船橋沢

砂防ダムを2ヶ所通り過ぎると林道に13h32mに到達。コンクリートの道を20分ほど歩き、笹子駅に13h54mに到着。14h04mの電車で帰途についた。


感想やコメントの書き込みはこちらへどうぞ
初出 : 2005年4月24日, 最終更新日 : 2005年4月26日

ページの先頭へページの先頭へ

山行記録一覧へ山行記録一覧へ