金峰山

奥秩父 金峰山・甲武信岳 山行記録 #1/2

2004年7月24 - 25日


多くの登山者が飛騨・木曽・赤石山脈や八ヶ岳などの高峰に集中する盛夏にあって、奥秩父はやや地味な山域であるためか、大混雑を避けることができる。金峰山・北奥千丈岳・国師ヶ岳・甲武信岳という2500m級の高峰が連なる稜線は夏でも涼しい。静かで落ち着いた雰囲気に包まれてみたいと、コメツガやシャクナゲに覆われた苔むす道を歩いてきた。1月に瑞牆山・金峰山を歩いて富士見平に幕営した際にペグを残置してしまったという気掛かりもあったので、ペンチを持参して後始末をしたいという動機もあった。

第1日 (7月24日) 武蔵境5h00m−(中央線)→ 韮崎7h34m/7h40m −(山梨交通バス)→ 増富温泉8h39m/8h40m −(山梨峡北交通バス)→ 瑞牆山荘9h00m → 富士見平9h53m → 大日小屋11h08m → 大日岩11h30m → 千代ノ吹上12h32m → 金峰山頂13h15m/14h00m → 朝日岳15h05m → 大弛峠16h00m

第2日 (7月25日) 大弛峠 → 国師ヶ岳 → 甲武信岳 → 西沢渓谷

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瑞牆山荘から出発

瑞牆山荘から出発

増富温泉でバスを乗継ぎ、瑞牆山荘に向かう。1月には2時間かけてあるいた8 kmの林道も、わずか20分で走ってしまうのだから楽なものだ。霞みがかった天気で遠望は得られないけど、金山平付近からは金峰山が望め、まずまずの好天だ。

緑濃い山歩き

緑濃い山歩き

9h00mに瑞牆山荘に到着。準備体操してから出発。やや蒸し暑い急坂だが、シモツケソウやウスユキソウなどの咲く道は歩いていて楽しい。丹沢では紅紫の萼を見せていたヤマオダマキも、ここでは淡い黄色で涼しげだ。ひらひらと舞うアサギマダラの翅が逆光に透けて美しいし、ウツボグサの造形も楽しく、盛夏に生き物たちが生命を謳歌しているのがよくわかる。

アサギマダラ

ヨツバヒヨドリに停まるアサギマダラ

ヤマオダマキ

淡い黄色のヤマオダマキ

ウツボグサ

ウツボグサを歩く甲虫

9h53mに富士見平に到着。マルバダケブキやギボウシなどが咲き誇り、アサギマダラもたくさん舞っている。さて、1月に不本意ながら残置したペグを抜き取らなくてはいけない。しかし、テントを張った場所は容易に見つかったけど、残置したはずのペグがいくら探しても見つからない。おかしいな。せっかく抜き取るためのペンチも持ってきたというのに。管理人さんか幕営した人が抜いてくれたのだろうか。きっと「ペグを残していくなんて、マナーの悪いヤツがいやがるな、ケッ!」なんて思われたんだろうな。申し訳ない。抜いてくださった方にこの場でお礼申し上げます。

マルバダケブキ

マルバダケブキとアサギマダラ

ギボウシ

ギボウシ

コメツガの暗い森の中を緩やかに登る。時々スズメバチが偵察に来るが、刺激を与えないように構わず歩き続けてやり過ごす。鷹見岩への道を右に分けると道は平坦からやや下り気味になり、すぐに大日小屋に到着。

ナナカマドの紅葉

紅葉しているナナカマドもあった

ホツツジ

ホツツジ

ここでザックを降ろすと、健脚そうな単独行の女性(後で知り合いになるTさん)に追いつかれる。小屋の脇にある水場へ汲みに行く。水流が細いものの冷たくておいしい水だ。休憩しているTさんより先に出発。まあ、どこかで追い抜かれるだろう。大日岩の脇に咲くホツツジの写真を撮っていたら、案の定追いつかれた。でも、またも私が先に出発。

霞の中の瑞牆山

霞の中の瑞牆山

稜線に出て小川山への道を左に分け、コメツガ・シャクナゲ・ダケカンバ・ナナカマドなどが混成する森をしばらく進むと、樹間から金峰山頂や小川山を望めるようになる。単独の初老の男性を追い抜くと森林限界に出る。霞のため、八ヶ岳や赤石山脈などは見えないが、瑞牆山くらいの距離は見通せる。

千代ノ吹上から

千代ノ吹上から見上げる金峰山

金峰山はもうすぐ

金峰山はもうすぐ

程なく千代ノ吹上を通過。山頂から下りてきた団体さんをやり過ごし、山頂に向けてのんびりと稜線漫歩を楽しむ。吹き抜ける風が心地よい。北側に展開するハイマツやナナカマドやシャクナゲの緑に覆われた岩塊斜面は、何度見ても開放的な気分にしてくれて、素晴らしい。巨岩が積み重なった道は、氷結していた1月には通過に難儀したが、夏なら苦もない。

五丈岩

山頂から眺める五丈岩

山頂から北東方面

北東方面に延びる稜線

東方面

鉄山・朝日岳・北奥千丈岳方面

金峰山頂に13h15mに到着。大勢の人で賑わっている。雲量が多く、霞で遠望は得られないけど、青空に白い岩と緑濃い木々が映えるのを見渡せばゴキゲンだ。さて、1月に敗退した五丈岩に挑戦しよう。中央の岩に手がかりの溝が刻んであるのを利用して、懸垂の要領で腕力だけで攀じれば、多くの人が断念する難所の3段目は突破できる。最終段は右側に手がかりの溝が刻んであり、3段目よりも易しい。登頂すると、岩の上で鳩が迎えてくれた。単独行の女性(Tさん)ものちに登頂に成功。登頂を喜び、写真を撮りあう。

この記録は五丈岩への登攀を推奨するものではありません。決して無理をせず、身の安全は各自で守りましょう。

五丈岩から眺める山頂

五丈岩から眺める山頂

五丈岩から西側稜線

西側の稜線を見下ろす

五丈岩と鳩

五丈岩で出会った鳩

14h00mに山頂を後にする。ほぼ平坦な稜線漫歩が10分ほど続くと、大きなケルンのある場所から右折して鉄山へ急降下する。森林限界以下に降りて展望がなくなる。でも所々、縞枯山のようにまとまって樹木が立ち枯れている場所がある。森の世代交代が段階的に進んでいるのだろう。朝日岳を15h05mに通過。露岩帯で展望のよい場所があり、大弛峠まで続く稜線が見えるが、その先の国師ヶ岳方面は霞の中だ。

朝日岳付近の立枯れ

朝日岳付近の立枯れ

16h00mに大弛峠に到着。林道が通っていて、たくさんの車が駐車しており、タバコの煙や家族連れの喧騒に興ざめするが、仕方ない。大弛小屋で幕営の手続きをして、No.16の幕営地をあてがわれる。テント場も結構なにぎわいだが、No.16は奥まった端の方で比較的静かな場所なのでホッとした。隣近所でテント設営中の人達に挨拶し、さっさと幕営する。夕食は、マンネリ化しつつあるサラスパ+プチパスタソースとトマトスープ。夕暮れの空に雷雲がピカピカ光るのを眺めながら、食欲を満たした。18h頃にテントに戻り、寝袋に潜り込むとすぐに深い眠りに落ちた。

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初出 : 2004年7月30日, 最終更新日 : 2004年7月31日

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