尾瀬 燧ヶ岳・黒岩山 山行記録 #2/22004年6月5 - 6日 いよいよ黒岩山の道迷いコースに挑む。雪がほとんど残っていないので正しいルートを辿ることができた。道迷いの疑問も氷解。訪れる人の稀な黒岩山山頂からの大展望を満喫し、達成感を味わった。 |
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第1日 (6月5日) 尾瀬御池 → 燧ヶ岳 → 尾瀬沼 → 小淵沢田代 → 赤安清水 第2日 (6月6日) 赤安清水3h55m → 赤安山4h55m → 黒岩分岐6h30m → 黒岩山7h05m → 黒岩分岐7h32m → 黒岩清水8h05m → 小松湿原入口8h40m → 鬼怒沼11h12m/12h07m → 物見山12h38m → 湯沢出合13h59m → 大清水14h34m |
2h頃に目覚め、朝食。月明かりがテント内をほのかに照らす。3h55mに薄明の中を出発。まだ体が目覚めていないので、ウォーミングアップを兼ねてのそのそと赤安山へのつづら折れを登る。帝釈山方面が朝焼けに染まり、やがて日の出。燧ヶ岳が朝日を浴びて美しい。赤安山の北面を巻くと、いよいよ黒岩山が目の前に迫る。 |
1960m峠点を5h28mに通過。そこから2019m峰への登りは倒木が多くて歩きにくい。踏み跡が薄く、残雪も散見されるようになって、一層の慎重さが要求される。2020mの右折ポイントを見逃してはならないので、2019m峰から歩測を開始する。右折ポイントまで約300mだから、まず400歩を数えてさらに100歩進むうちのどこかであろう。しかし実際には倒木をよけたり残雪を踏み抜いたりして歩幅が一定でなかったためか、500歩進んでも右折ポイントに到達しない。不安に思ったが、530歩のところで右折ポイントがあった。 |
いよいよ黒岩山南西面のトラバースにさしかかる。密林の中に一本だけ刻まれた道には、殆ど雪が残っていないので、踏み跡が明瞭だ。倒木が多くて厄介だけれど、これならルートを辿れる。南西尾根を越えると多少の残雪があるが、ルートの見分けは十分にできる。あっ、この見覚えのある場所は、2週間前にビバークしたところだ。テントを張った残雪は跡形も無く消えているけど、この赤テープは間違いない。やった!遂にこのルートが繋がった。 |
改めてこの場所を見回すと、ここが黒岩分岐であることを示すプレートが置かれている。2週間前はこのプレートが雪に埋もれて気付かなかった。ビバーク地は黒岩分岐より西北西側に進んだところだと思っていたのだが、実際には黒岩分岐にビバークしていたのだ。この地点から東方向に続いていた赤テープは、正規ルートでなく、黒岩山山頂へ続く道しるべだったのだ。 |
今朝辿ってきた赤安山方面の正規ルートも、黒岩清水方面へ続く道も、2週間前には全くルートだと認識していなかった。ルートファインディングの未熟さを思い知ったが、謎が氷解してとてもすっきりした。 |
ルートファインディングのために余裕を見ていた2時間がそのまま使えるようになったので、黒岩山山頂を目指してみよう。地図とは異なり、赤テープに従い2070m等高線に沿って西北西方向へ200mほど進んだ後に、左折して最大傾斜方向へ登る。テープが充分な頻度で付けられているのだが、これらの多くは2週間前には雪の下に埋もれていたのだ。山頂に近づくと薮がうるさく、羽虫が多数まとわり付いてくるのに閉口するが、次第に周囲の眺めが開けてくると期待感が高まる。7h05mに登頂。三角点標石と山頂プレートが二つある山頂からは、360°の大展望。たどり着くまでの経緯が報われる眺めだ。難関だった黒岩山南西面を上から眺めると、とても感慨深い。 |
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7h32mに黒岩分岐に戻る。その先、地形がうまく読めずリングワンデリングをしてしまった領域も、残雪の少ない今では正しいルートを辿れる。黒岩清水を8h05mに通過。ちょうど花が見頃のミズバショウの群落が、ルート踏破を祝福してくれる。1980m峠点を過ぎ、もうこれが5回目の通過となる2043m峰への登りをこなして小松湿原入口の水場に8h40m到着。2リットルを給水する。 |
心理的にも行程的にも余裕ができたので、鬼怒沼までの稜線を探鳥しながらのんびりと歩く。ルリビタキやウグイスの声が響く。何枚かルリビタキの写真を撮ったけど、高い枝からなかなか降りてきてくれないので、まともに姿が分かる写真が得られなかった。道端にはあちこちにオサバグサが咲きはじめている。ミツバオウレンも、ところによっては踏み場に困るほどに多い。 |
鬼怒沼に11h12m到着。湿原の中の木道には散策する人が多く、観光地まで降りてきたことを実感する。鬼怒沼脇のベンチに腰掛けて、マルタイ棒ラーメンを調理して食す。ベンチに同席した宇都宮からいらした中年夫婦といろいろ歓談。小松湿原入口で汲んだ水を提供する。 |
12h07mに出発。ヒメシャクナゲが咲き、モンキチョウが舞う湿原の木道をポクポク歩く。物見山までの登りも殆ど雪がなく、よく整備された道だったということが分かる。 |
12h38mに物見山山頂を通過。だんだん雲が南から迫り、いつ降り出してもおかしくない空の様子。満開のアズマシャクナゲを楽しみながらゆっくりと降りる。下っている途中でポツポツと雨粒を受けたが、本降りになる前に13h59mに湯沢徒渉点の丸木橋にたどり着いた。ほとんど2週間前と時間も同じだし、天気の様子も一緒だ。 |
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おまけに、大清水までの林道で山菜ドロボウを目撃することまで再現してしまった。こんどは中高年男性二人連れなので、逆上されると敵わないので、まずは証拠写真を撮影。やんわりと「ここは日光国立公園内で植物採取は禁止ですよ」と告げたら、悪いことを知っていたのか恐縮で「あ、すみません」と言うのでホッとする。14h34mに大清水のレストハウスに到着。10分ほどすると本降りになった、というのも2週間前と同様で、ツイているなあ。16h00m発の新宿行きバスで帰途についた。 |