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打ち水って地球温暖化を促進させるのでは 



梅雨が明けて真夏日が続く。こんなときに冷房を使ったら、電力消費でCO2は排出されるわ、室外機から熱は排出されるわで、地球温暖化に拍車をかけるであろう。その対策として、打ち水で気温を下げようという運動 があるらしい。「地球温暖化に対抗する地上最大の社会実験」というキャッチフレーズを掲げているが、物理的には疑問だらけだ。打ち水によって、局所的には温度を下げることはできるだろうけど、地球全体としては温暖化が促進されるのではないだろうか。その理由は以下の三つ。

1. 地球温暖化を防ぐには、地球から宇宙空間へ捨てる熱を増やすしかない。宇宙は真空なので、その手段は放射冷却だけだ。放射冷却で輸送される熱量は物体の絶対温度の4乗に比例するので、高温の領域ほど効果的に熱を捨てることができる。打ち水で地面の温度を下げると、放射冷却の効率が低下し、熱がこもることになるだろう。
2. 打ち水によって熱量は局所的には減るかもしれないが、地面と水とを合わせた熱の総量は変化しない。地面の熱が水蒸気に移動し、エントロピーが増えるだけだ。平たく言えば、蒸し暑くなるだけ。
3. 打ち水によって発生する水蒸気は、CO2なんかよりずっと強力な温室効果をもたらす。水分子は電気双極子モーメントを持つので放射に対して光学的に厚くなりやすく、放射冷却を妨げて温室効果をもたらすだろう。

もちろん、局所的に人が暑さを凌げればよい、という考えは間違っているとは言えないので、打ち水をやめろと言うつもりはありません。電力を使って冷房をするよりはマシだと思います。でも、「地球温暖化に対抗する」というスローガンはマユツバモノだ。打ち水は地球温暖化を促進させるけど、この暑さを凌ぐために仕方なくやるんだ、という意識を持って控えめに打ち水するくらいがいいのではないでしょうか。

…てなことを「特定非営利活動法人 日本水フォーラム」にメールでお問い合わせ(もちろん表現はオブラートに包んだ上で)してみました。我ながらヒマだなぁ。さて、どんな反応が返ってくるかしら。 

Posted: 火 - 7月 19, 2005 at 09:22 PM      コメントを読む/書く


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