Top    

がんばれ二千円札 



今日から新札が発行されるという。自動販売機など、新札に対応した機種に更新されるのだろう。そこで期待しているのが、二千円札も対応するであろうということ。これまで自動販売機で使えないことが多いと不評だった二千円札が、この機会に流通量が増えることを期待しています。実は私、二千円札のファンなのです。なぜかというと…
通貨の額面は、(1)なるべく貨幣の種類が少なくて済む、(2)任意の金額なるべく少ない枚数で支払うことができる、となるように決めるのが優れています。(2)の条件を極端にしたのが計算機などで使われている二進法で、1円玉, 2円玉, 4円玉, 8円玉, … という貨幣を用意すれば枚数は1かゼロかです。ただし二進法では貨幣の種類が多くなりますし、十進法に慣れた人には計算が煩雑です。十進法があることを前提にすると、1円玉, 10円玉, 100円玉…という種類を用意するわけですが、それだけでは9円を支払うときに1円玉が9枚も必要です(相手がお釣りを用意できるとは限らないので)。そこで1円玉と10円玉とのギャップを埋める補助的な貨幣が必要になり、現行では5円玉があるわけですが、実は5円玉よりも3円玉を作るべきでした。なぜなら、1と5の間の比率が5と大きいので、4円を支払うために1円玉が4枚も必要になるからです。3円玉があれば、1円玉と3円玉の2枚で済みます。1と3との比率が3に収まり、3と10との比率も3.3ですから、バランスがとれているわけです。支払い金額が1円から10円までほとんどの場合で、5円玉の代わりに3円玉を用意した方が、必要な枚数が少なくて済むことが、下記の表で分かります。

金額 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10円
----------------------------------------
枚数 1 2 3 4 1 2 3 4 5 1 ← 1円玉, 5円玉, 10円玉の場合
枚数 1 2 1 2 3 2 3 4 3 1 ← 1円玉, 3円玉, 10円玉の場合
----------------------------------------

貨幣の額面は、比率がほぼ同じような数列(ほぼ等比数列)になるように設定するのが合理的なのです。対数スケールで等間隔に近いように設定する、と言換えてもいいでしょう。
しかし実際には1, 5, 10, 50, … と、比率がまちまちなのが現状です。それではこのバランスの悪さを矯正するにはどうするか、そこで「2」の登場です。1, 2, 5, 10 という数列であれば、比率は2倍, 2.5倍, 2倍とほぼ一定になるわけです。支払い枚数も、

金額 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10円
----------------------------------------
枚数 1 2 3 4 1 2 3 4 5 1 ← 1円玉, 5円玉, 10円玉の場合
枚数 1 1 2 2 1 2 2 3 3 1 ← 1円玉, 2円玉, 5円玉, 10円玉の場合
----------------------------------------

と全てのケースで少なくて済みます。貨幣の種類を増やしたのだから当然なのですが、もっとも合理的な隙間の埋め方でしょう。というわけで、千円札と五千円札の間を埋める二千円札は、支払いをスムーズにしてくれる便利なお札なのです。自動販売機が受け付けてくれさえすれば、二千円札を嫌う理由はありません。
これまでお目にかかることが少なかった二千円札ですが、この機会に多量に流通してくれることを願っています。 

Posted: 月 - 11月 1, 2004 at 09:02 PM      コメントを読む/書く


© Kameno external memory