水 - 1月 19, 2005太陽に最も近い山はどこ(最終回)5回にわたってこの話題を続けてきましたが、太陽までの距離を最も大きく左右するのは地球の公転軌道であり、近日点通過日において太陽に最も近くなる山頂はアンデス山脈のAcamarachi山である、という結論に至りました。
注意したいのは、Acamarachi山頂が太陽に最も近い地点であるのは、太陽の赤緯が約-23°となる時期(1月4日前後と、12月8日前後)に限られるということです。太陽の赤緯は、±23.4°の範囲を1年間に渡って変化します。太陽の赤緯が0°となる春分・秋分の日には、赤道に近いChimborazo山頂が最も太陽に近い地点となるでしょう。赤緯が+23.4°になる北半球の夏至では、北緯23°付近の山が首位に立つはずです。太陽の赤緯によって入れ替わる、日替わり首位なわけですね。その中で、最短距離記録をマークするのがAcamarachi山、ということでした。 長々と役に立たない与太話にお付き合いくださりありがとうございました。(この項終わり) Posted at 11:28 PM コメントを読む/書く 火 - 1月 18, 2005太陽に最も近い山はどこ(4) : 山の標高と地球の曲率ここまでをまとめると、地球が近日点を通過するときの太陽の赤緯は-22°54'20"で、月によるふらつきの影響は距離は変化させるけど太陽の赤緯を変化させるほどではないので、南緯22°54'20"一帯にある高峰が、太陽に最も近い山(正確に言うと、「最も近付くことのできる山」)という訳です。
地球の半径は6378 kmですので、緯度が1°外れると971m、2°外れると3885mだけ太陽から遠ざかります。できるだけ南緯22°54'20"からの緯度差が小さい高峰を探すと…アンデス山脈中の山ということになりますね。
という表を作ってみると、最も補正標高が高い(すなわち太陽に最も近い)山は、チリのアタカマ沙漠にそそり立つ標高6046mのAcamarachi山 、のようです。この山に近日点通過日(今年は1月2日)に登頂し太陽が天頂にくる瞬間が、地上で最も太陽に近付いたとき、と言えるわけです。 ちなみに、アタカマ沙漠は日米欧が共同してALMA(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計) を建設しているサイトであり、Chajnantor山には東京大学がTAO望遠鏡 を計画してサイト調査を行っています。これらのサイトは主に大気の透過率やシーイング(星の瞬きが少ないこと)が優れているために選定された場所だったのですが、奇しくも太陽に最も近い場所のすぐそばだったのですね。 Posted at 11:13 PM コメントを読む/書く 火 - 1月 11, 2005太陽に最も近い山はどこ(3);月によるふらつき月と地球は共通重心の周りを互いに回りあっています。月と地球の質量比は1:81.3、月と地球の距離は最遠の時で41万6000
kmですので、共通重心の位置は地球中心から最大5120kmほど月に寄ったところにあります。共通重心が地球内部にあるとはいえ、この偏りは地上のどんな山の高さより大きいわけですから、影響を無視できません。月が太陽と反対側にあるとき、すなわち満月の日に、地球全体が5000kmほど太陽に近くなるわけです。
月の軌道離心率はe=0.055ですので、月と地球との距離は一ヶ月の間に42210kmも変化しますから、共通重心に対する地球中心の偏りも520kmほど変化します。月の遠地点は歳差運動によってゆっくりと時間変化しますので、地球中心が太陽に最も近付く瞬間というのは、近日点通過日頃に月の遠地点が太陽と反対方向にくるとき、を狙う必要があります。これがいつなのか?詳しい計算が必要なので、少々お待ち下さい。 月の軌道傾斜角は5.14°ですので、偏りの方向は太陽の方向とは完全に一致はしないのですが、偏りの大きさは太陽までの距離に比べれば小さい値ですので、近日点通過日における太陽の赤緯の変化は気にしなくてもいいです。太陽に最も近い地点を探すには、近日点通過日と満月が重なる日において、太陽が天頂を通過する地点を探す必要があるわけですが、それは前述の南緯22°54'20"一帯ということでよいでしょう。 Posted at 11:18 PM コメントを読む/書く 水 - 1月 5, 2005太陽に最も近い山はどこ(2) : 地球の公転運動(0)でも触れたことですが、地球の軌道は楕円
で、近日点では平均距離に比べて250万kmも太陽に近付きます。これは地球の直径12742kmに比べてずっと大きい値ですから、太陽に最も近い山を論じるにあたっては、「近日点通過前後において太陽に最も近い地点」を考える必要があります。
今年の近日点通過日は1月2日。この日付は年によって多少変動します。要は、地球公転軌道の近日点黄経が102.93°ということですので、近日点の方向は春分点から102.93°離れた方向にあるわけです。地球が春分点を通過するのは秋分の日です(春分とは地球から見て太陽が春分点を通過する日です)ので、それから地球が102.93°だけ公転した日が近日点通過日、つまり1月初旬なわけです。このとき、地球から見た太陽の赤経は18h51m49s, 赤緯は-22°54'20"です。したがって、地球上の南緯22°54'20"一帯が、近日点通過日に太陽が天頂を通る、つまり太陽に最も近い地点の候補です。 Posted at 09:09 PM コメントを読む/書く 太陽に最も近い山はどこ(1)昼に太陽は空高く昇るわけですから、高度を上げるほど太陽に近付く気がします。地球で最も標高が高い山はチョモランマ(エベレスト,
サガルマータ;
8848m)です。
それでは、チョモランマ山頂が最も太陽に近いでしょうか?北緯27˚.59のチョモランマからは太陽は南の方角に見えますから、もっと南に進んだ方が太陽に近そうです。赤道付近の山が太陽に近そうですね。 それだけでなく、地球は球でなく、赤道方向に膨らんでいますので、同じ標高でも赤道付近は高緯度帯より地球中心から遠く離れています。地球上の山で地球中心から最も遠い地点は、エクアドルの最高峰チンボラソ(6310m, 南緯1˚.28)です。 では、ここが太陽に最も近い地点なのでしょうか?考え始めると、結構複雑な問題なのです。地球上のある地点と太陽との距離に拘わる要素としては、 1. 地球の公転運動による地球−太陽間の距離変化 2. 月の公転運動によって地球が振り回される影響 3. 地球が球ではなく、洋梨形にひしゃげている影響 4. 山の標高 があります。その他、惑星の運行による影響もあるでしょうがそれは割愛します。それぞれの要素を次回から順番に考えてみましょう。 Posted at 07:26 AM コメントを読む/書く 日 - 1月 2, 2005太陽に最も近い山はどこ(0)地球が太陽に最も接近する日(近日点通過日)は、年によって1月2日から5日まで変わるもので、今年は2日の日本時間10時頃に近日点を通過しました。地球が太陽の周りを回る公転軌道は半径1億4960万kmのほぼ円といっていいのですが、精密に言うと離心率e=0.0167の楕円ですので、近日点では太陽までの距離が平均距離に比べて1.67%
(約250万km)
も近くなります。北半球の冬では夏に比べて太陽がわずかに大きく見えるわけですね。
さて、このことをネタにして、地球上で太陽に最も近い場所はどこか、という話題を何回か引っ張ってみたいと思います。 Posted at 07:15 AM コメントを読む/書く |
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HaloScanサーバーの時計狂いは気付いたら直っていました。米国の夏時間が終わったからかな。(2004.12.13記)
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