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比熱が負の世界(2) 



K: さて、質量Mの星の重力f(r)=GMr-2 erの回りの運動をケプラー運動って言うのですけど、簡単のために円運動を考えると、重力GMr-2 と遠心力v2r-1とがつり合っているから、v=(GM/r)1/2だよね。ここで、v=rωは回転速度ですよ。すると、単位質量あたりの角運動量はr2ω = (GMr)1/2となります。
N: そうですね。
K: 面倒だから、以後単位質量あたりの角運動量をAと書くと、A= (GMr)1/2、つまり外側に行くほど角運動量は大きいんだ。太陽系で言えば、内側の水星は角運動量が小さく、外側の海王星は角運動量が大きいわけですね。
N: ふーん。
K: 中心に向かって落ちるためには、つまりrを小さくするには、角運動量を小さくする必要があるわけです。
N: でも、角運動量は保存するんぢゃなかったでしたっけ。
K: そう、中心力場では角運動量が保たれて落ちることができないんです。実際、地球は太陽に落ちていかないでしょ。地球の角運動量が保たれているからですね。
N: それぢゃ、どうやってブラックホールに燃料を落とすのですか?
K: 角運動量を抜かなくてはね。それが「角運動量輸送」なのです。
N: あ、Angular momentum transferですね。
K: そう。それには粘性とか力学的摩擦といった、中心力場とは違う角運動量を輸送するしくみが必要なんです。
N: 摩擦でブレーキをかけるのですね。 

Posted: 金 - 9月 15, 2006 at 11:39 PM      コメントを読む/書く


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