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比熱が負の世界(1) 



大学院生のNさんとの会話を、脚色して再構成。
N: Angular Momentum Transferって何ですか?
K: 角運動量の輸送のことですね。ブラックホールに燃料を供給するには角運動量をどうやって抜くかが問題なんですよ。
N: 角運動量って何でしたっけ。
K: 単位質量あたりの角運動量はr2ωでしたよね。rは中心からの距離, ωは角速度です。中心力場では角運動量が保存されることは知ってる?
N: えーっと…。
K: 中心力場ってのは、物体に働く力f(r)が位置ベクトルrと常に平行になる場のことですね。r方向の単位ベクトルをerと置くと、f(r)=αerと適当な比例係数αを使って書けるのが中心力場です。例えば、質量Mの星から受ける重力はf(r)=GMr-2 erとだからこれも中心力場ですね。
N: はい。
K: 運動方程式は、f(r)=d2/dt2 (r er)= d/dt (dr/dt er + rωeθ) = ( d2r/dt2 - rω2)er + (2dr/dt ω + r dω/dt) eθになるね。ここで、der /dt = ωeθ, deθ/dt = -ωer を使ったよ。さて、中心力場ではf(r)=αerなのだから、運動方程式の左辺に eθの項はないわけで、だから右辺のeθの項もゼロにならないといけないんだ。だから、2dr/dt ω + r dω/dt = 0。この式にrを掛けると2r dr/dt ω + r2 dω/dt = 0。つまりd/dt ( r2ω) = 0。これで、角運動量r2ωが時間変化しないことが示せたね。これを角運動量保存則っていうんだ。知っていて損はないですよ。
N: 昔、習った気がします。 

Posted: 金 - 9月 15, 2006 at 11:17 PM      コメントを読む/書く


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