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ブラックホール天文学入門 



嶺重 慎 著「ブラックホール天文学入門」 を読了。ブラックホールとは何か、から始まって、ブラックホールはなぜ光るのか、降着円盤ってどういうものか、どうしてブラックホールからジェット(高速のプラズマ流)が吹き出すのかなど、現実的な(宇宙に実在する、という意味です)ブラックホールについての最新研究成果までを網羅した極めて内容の濃い書物です。「入門」と謳っているだけに一般向けに書かれていますけど、研究者にとっても現在の研究状況を概観できる点で価値が高く、読者のダイナミックレンジが広いです。世界の第一線で活躍する著者の嶺重さんは理論研究が専門ですけど、観測の分野にも明るく、X線観測や光学観測や電波観測でも活躍されています。本書で観測の成果や観測装置も紹介されているのも首肯けます。近頃は天文教育にも熱心だとか…どうりで専門外の人にも読みやすいソフトな文体ですね。ブラックホールにちょっとでも関心のある全ての人にオススメ。これで1,600円は安いです。 

Posted: 月 - 9月 25, 2006 at 11:29 PM      コメントを読む/書く


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