大室山の稜線

丹沢 大室山 山行記録

2003年11月8日


土曜日は好天が続くが日曜日には崩れるという予報がでているので、日帰りで行ける丹沢をまた歩いてみよう。まだ訪れていない山の中から大室山 (1587.6 m) に行くことに決定。中央線で相模湖付近を通るたびに車窓から気になっていた山だ。西丹沢自然教室のバス停を基点として、加入道山 (1418.4 m) と合わせて6h45mのコースタイムで一回りできる。

自宅−(自転車)→登戸5h49m−(小田急線)→新松田6h47m−(バス)→西丹沢自然教室8h30m→白石滝10h10m→白石峠10h54m→加入道山11h17m→犬越路への下降点12h30m→大室山12h35m→犬越路への下降点(昼食)12h45m/13h30m→犬越路14h20m→用木沢出合15h20m→西丹沢自然教室バス停15h40m

経路図はこちら

山行記録一覧へ

西丹沢自然教室にて

西丹沢自然教室で出発の準備をする登山者たち

登戸発5h49mの小田急線に間に合うよう自転車のペダルを踏む。天頂近くに木星が明るく輝いていて、好天を期待させる。厚木を過ぎると車窓には丹沢が現われるが、霞がかかっていて遠くまでは見通せない。新松田に6h47mに到着。バス停には40人くらいの登山者の行列ができていて、今日も丹沢は大盛況だ。7h00mに出札窓口が開いたので往復乗車券を購入。1割引だし降車時の支払いでまごつかないように。8h30mに西丹沢自然教室に到着。登山者の多くは檜洞方面に向かうようで、私が向かう用木沢方面はほとんど人がいない。
白石沢キャンプ場付近からは加入道山から大室山の稜線が望める。魅力的な稜線で、この先あそこを歩くと思うとワクワクする。稜線はすでに落葉しており、一方現在地ではまだ緑が濃い。途中のどこかで紅葉を楽しめるだろうと勝手に期待する。

白石沢キャンプ場付近からの眺め

加入道山から大室山を結ぶ稜線

犬越路への道を右に分け少し行くと舗道は終わり、やっと山道らしくなる。杉の植林に網が巻いてあるのは鹿の食害を防ぐためだろうか。道脇にはウラシマソウが赤く結実している。5月に歩いたときには葉を展開させる様子が面白かったのが、こんなに様変わりしているのは興味深い。

ウラシマソウの赤い実

ウラシマソウが赤い実を付けている

白石沢に沿いに何ヶ所か徒渉をする。ある徒渉点付近で中年男性二人のパーティが休憩しており、このコースで初めて人に会う。道は尾根に付いて高巻き、急登となる。この辺では紅葉しているイタヤカエデなどの木もあるが、ほとんどの葉は落葉しているか茶色か緑かのどれかで、紅葉に関してはやや期待外れ。まあ、これも自然なので良しとしよう。さっきのパーティが追いついてきたので追い越してもらう。「ここの登りキツイね」と声を掛けられるので、「そうですね。ところで滝が見えるところってまだですか」と尋ねる。白石滝が登山道から見えるはずなのだが、それらしき音も聞こえないので、通り過ぎたかも知れないと思ったからだ。「あれ、何回かここ通ってるけど滝なんてあったかなあ」との答えが帰ってくる。そんな…

でも、3分ほど登ると白石滝の眺望ポイントがあって二人が私を待っている。

登山道から見える白石滝

白石滝は期待より水量が少なめ

なかなか立派な滝で、その周囲には紅葉もあるので見事だ。「ここだったね。面白いものもあるし」とストックで指す先にはアケビがたわわに実っていた。いいものを見た、と何だかすっかり楽しくなってしまった。

たわわに実ったアケビ

アケビの実がこんなにたくさん

白石沢源流沿いの道

白石沢の源流に沿って登る

滝によって白石沢の高度は登山道に追いつき、源流に沿って歩くようになった。二人組が休憩しているところを再度抜かす。私は歩くのはゆっくりだが大休止をしないので、結局こっちの方が疲れないし速いのだ。やがて源頭となっている湧き水に到着。すくって飲んでみたがそれほど冷たくはなかった。

大理石

大理石が多く見られる

この先は涸れた沢筋を登り詰める。岩がゴロゴロしている中には、大理石が散見される。大理石は石灰岩が変成作用を受けた岩石であり、かつて丹沢が海底にあったことを示す証拠である。伊豆半島が載ったフィリピン海プレートが東日本を載せた北米プレートにぶつかって隆起したと考えられている丹沢。地球のダイナミズムを伺うことができる。
沢筋を離れて白沢峠に向かって急登が続く。丸太の階段が整備されているが、ステップが高いのでゆっくりを心がけないと筋肉痛の元だ。やがて視界が明るくなってきて稜線が近いことを感じさせる。標高1280 mの白沢峠に10h54mに到着。ベンチでちょっと休憩。これから目指す大室山が樹間から立派に見える。加入道山に向かう稜線はブナの落ち葉が降り積もった明るい道で、期待していた通り。落ち葉をサクサクと踏むのが楽しくて童心に帰るようだ。

白沢峠から加入道山に続く道

白沢峠から加入道山に向かう稜線をゆく

加入道山に11h17mに到着。林の中で展望はあまり良くない。この山頂には避難小屋が建っている。中を偵察してみると清潔で毛布もあり、良く整備されている。地元の山岳会には頭が下がる思いだ。

加入道山避難小屋の様子

よく整備された避難小屋

真っ赤なズミの実

ズミの名は「酸っぱい実」からきているそうです

大室山に向けて歩みを進める。葉を落としたブナが多く色彩の少ない稜線だが、その中にも赤い彩りが時折アクセントを添える。ズミやマユミの実だ。特にマユミは、周りの樹が落葉しているなかで可愛らしく実を付けているのを讚えたい。

実でピンクに染まったマユミの木

マユミは「真弓」それとも「繭実」?

ごんげんやまとあぜがまるの眺め

左が権現山、右に畦ヶ丸

遠望のスカイラインに目をやると、権現山のこんもりした姿と畦ヶ丸[あぜがまる]ののピラミダルな山容の対比が面白い。菰釣山[こもつるしやま]や御正体山[みしょうたいさん]もかすかに見える。

こもつるしやまとみしょうたいさんの眺め

遠景に霞んでいる菰釣山(左)と御正体山(右)

おおむろ山頂

大室山頂はあまり展望が得られない

その奥には富士山があるはずなのに、霞に埋もれているのは残念。北側には道志村の集落を見下ろすことができる。稜線漫歩をのんびりと楽しみ、12h30mに犬越路への下降点に到着。大室山まであとわずか5分の地点で、ベンチがあって昼食を摂るには最適な場所だ。ザックをデポして大室山までピストンしてから昼食にしよう。
大室山頂まではなだらかな道であっけなく登頂。3人のパーティと6人のパーティがいる。樹林に囲まれてあまり展望はよくなく、地味な山頂だ。あまり達成感も得られないままデポ地に戻る。

チーズフォンデュの材料一式

チーズフォンデュの準備

昼食はバカの一つ覚えでチーズフォンデュ。今回は作り方も報告します。

溶けたチーズに食材を投入したところ

材料を投入

用意する材料はフランスパン、チーズ、ワイン、茹で野菜。チーズフォンデュ用に粉末ワインがセットになったものも市販されているので便利だ。フランスパンはあらかじめ一口サイズに切ってオーブンで軽く焼いておく。茹で野菜も山行前に用意しておく。チーズが絡みやすい野菜が適しており、ブロッコリー, アスパラガス, オクラをよく使う。テフロン加工のフライパンに粉末ワインを適量の水に溶かして火にくべ、チーズを投入する。焦げないようにかき混ぜ続け、チーズが溶けて沸騰したらフランスパンや茹で野菜を投入してアツアツのまま食べる。高カロリーでダイエットの敵とも言うべき料理だけど、山ではカロリー消費が激しいのでちょうどいいです。

食べ終わってデザートのみかんを食べながらドリップコーヒーを淹れていると、中年夫婦のパーティが「ここ使ってもいいですか」と言ってきてベンチを同席した。お互いの行程などの会話を交わす。地図にこれまで丹沢を歩いた履歴がメモされていて、十数回歩いている熟達者だということがわかる。丹沢を歩き尽くしたいと言っていた。羨ましい夫婦だ。

13h30mに下降を開始。こちらの道は笹が生い茂っている。なだらかで楽な下山道だ。途中一ヶ所だけ鎖場があるが、特に難所というわけでもなく鎖がなくても構わない。蛭ヶ岳から臼ヶ岳を経て檜洞丸[ひのきぼらまる]に至る稜線がよく見える。去年4月に歩いた道で、結構体力を使ったことを思い出す。

ヒルガタケからヒノキボラマルに続く稜線の遠望

蛭ヶ岳から檜洞丸に至る稜線

笹原のイヌゴエジにて

犬越路から檜洞丸を見上げる

檜洞丸から降りてくる笹原の稜線がだんだん近づいてきて、犬越路で結合した。ここにも立派な避難小屋が建っている。二組のパーティがベンチで休憩中だ。私もこの明るく開けた峠でちょっと眺めを楽しもう。

逆光に透ける紅葉

逆光に透ける紅葉は鮮やか

犬越路からの下りは最初笹藪の中をゆくが、やがて開けた沢筋となる。この道は東海自然歩道の一部で、とてもよく整備されている。所々に紅葉したカエデもあり、逆光に透けた色合いが美しい。降りてゆくのがもったいない楽しい道で、なるべくゆっくりと進んだ。

ようきざわの河原

用木沢の河原

15h00m頃に用木沢の河原に出る。この先はほぼ平坦な道。徒渉点にある大岩に腰掛けてしばし沢の音に聴き入る。根が生えてきそうになったので出発。

ようきざわの小滝がつくる淵

澄み切った用木沢の淵

その先では、名札を着けた数人のグループが岩壁を熱心に観察している。聞いてみると、苔の研究をしているそうだ。面白そうなのでもっといろいろと聞きたかったが、邪魔になるので早々に立ち去る。15h20mに用木沢出会に到着。今朝通った車道をバス停に向かう。キャンプ場ではたくさんの家族連れがバンガローやテントで思い思いの休日を過ごしている。ほのぼのしていていいな。15h40mに西丹沢自然教室バス停に到着。ちょうどバスの臨時便が出発するところで、待ち時間なしで帰路に着いた。

感想やコメントの書き込みはこちらへどうぞ
最終更新日 : 2003年11月10日

ページの先頭へ

山行記録一覧へ