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方向性が見えてきた 



後期に任されることになった講義「波と振動の物理学 」も、今日で第3回目。3月に退職された先生によるシラバスだけを渡されて、「はい、今年度は担当よろしくね」と言われたのが開講の3ヶ月前。シラバスと指定の教科書を読んでも、内容があまり系統的にまとまっていないと感じ、どうやってカリキュラムを組んで良いのか悩んでいた。何しろ、波動方程式を導出するより前に、電磁放射や回折や干渉といった現象論を教えるというシラバスになっていたのだ。基礎の素過程を理解せずに個々の現象から入るのは、系統だった理解を得るのが困難になってしまう。未知に挑む最先端の研究であれば話は別だけど、すでに体系ができている学問ならそれに沿って進める方がいいだろう。おまけに、色覚についても教えることになっている。確かに色覚は面白いし重要な学問だけど、それは「波と振動の物理」というよりは心理学の分野で扱うのではないでしょうか。
…というわけで、シラバスの内容を開講直前に書き換えるのは反則技かも知れませんけど、思いきって内容を編成し直しました。まずは「波とは何か」「波をどう表現するのか」といった初歩から入って、波動方程式という基礎を押さえ、その後に電磁波放射や回折や干渉や屈折といった現象論に進む、という構成をとります。色覚は削除する一方で、教科書にきちんと書かれていない電磁波放射についてはプリントを作成することで対処します。準備に楽はできないけど、この方が教える側として納得できるので精神衛生にはよいです。
さて、受講生にとって吉と出るか凶と出るか。小テストの結果を見る限りでは、まだ五分五分といったところかな。嬉しいことは、受講する必要のない研究室のメンバー数人がモグリで聴きにきてくれていること。頑張ろう。 

Posted: 火 - 10月 17, 2006 at 11:03 PM      コメントを読む/書く


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