大菩薩嶺の草原

大菩薩嶺・牛ノ寝通り 山行記録

2005年8月27日


大菩薩連嶺の石丸峠と奥多摩の小菅を結ぶ稜線は牛ノ寝通りと呼ばれていて、ほとんどアップダウンのない平坦な道が続いています。かつては交通路だった道は歩きやすく整備されていますが、車社会の今では歩く人の少ない静かな散歩道です。落ち着いた幽玄な雰囲気を楽しもうと、夏の日に訪れてみました。

武蔵境駅5h40m−(中央線)→ 塩山駅7h23m/7h28m → 裂石7h55m/8h00m → 丸川峠10h00m → 大菩薩嶺11h11m → 石丸峠12h30m → 榧ノ尾山13h22m → 棚倉(大ダワ)14h27m→ モロクボ平14h55m → 小菅の湯15h29m

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ツリフネソウ

ツリフネソウ

ツリフネソウ色違い

ツリフネソウ色違い

5h40m武蔵境発の列車で塩山に降り立ち、7h28m発のバスで大菩薩峠登山口へ向かう。終点で降りたのは20人ほど。三々五々出発する。蒸し暑い中林道を20分程登ると丸川峠分岐に到着。丸川峠へと行く人は少ないようで、一人きりの静寂を楽しむことができる。

メジロ

メジロ

みそぎ沢沿いの道は、瀬音や渡る風が涼しい。道端にはツリフネソウの群落が目を楽しませてくれる。 やがて道は尾根筋を行き、急登の連続だ。春にはツツジを楽しめるこのルートもこの季節は花は乏しいが、それでも緑が眩しく心地よい。所々、塩山方面を望める展望地があるけど、雲が厚くて今日は展望が得られそうにない。

ツリガネニンジン

ツリガネニンジン

「このプレート、マズいよ…」

プレートを飲み込む樹

だいぶ登り詰めた標高1600m付近で、樹木がプレートを飲み込んでいるのを見つける。不用意なプレート設置はこのような結果を招くのだ。「千と千尋の神隠し」に登場した、人間が捨てた自転車やヘドロで腐れ神になってしまった川の神を思い出す。

ゴジュウカラ

ゴジュウカラ

ミネウスユキソウ

ミネウスユキソウ

ワレモコウ

ワレモコウ

コウリンカ

コウリンカ

9h54mに丸川峠のお花畑に到着。広々とした心地よい草原だ。花期は過ぎているけど、コウリンカやミネウスユキソウやフウロソウが散在する。ススキの原にワレモコウも咲いていて、秋の訪れを感じさせる。

reiさんに教えて頂きました

ノコギリソウだそうです。

ハクサンフウロ

ハクサンフウロ

丸川峠の草原

丸川峠に広がる草原

10h00mに丸川峠を右折して大菩薩嶺へと向かう。苔生すネズコやコメツガの鬱蒼とした森の中を緩やかな傾斜で登ると、心が癒されてゆく。のどが渇いてきたので、500mlのポカリスエットを少量飲んでは、そこに真水を注ぎ足してゆく。これを繰り返してゆくと徐々にポカリスエットの濃度は低下してゆくわけだが、微少量を飲んでは継ぎ足してゆくと500ml飲んだときに濃度はどれだけになるのだろう…なんて疑問が頭に浮かんだ。なるほど、1/e(約36.8%)になるのか

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苔生す森の中を登る

苔生す森の中を登る

イチゴの実

イチゴの実

そんなくだらないことを考えていると、沢音が聞こえる。少し登ると、水流が登山道を横切っている場所がある。流れの上流を見ると湧き水があった。雨上がりなので水量豊かで、冷たくて美味しい。ここで500mlを汲む。さらに登ったところには石清水もあって、ここで汲んでもよかったかな。

マツムシソウの蕾

マツムシソウの蕾

花

花の後

花の後

大菩薩峠へと続く稜線

大菩薩峠へと続く稜線

11h11mに大菩薩嶺に到着。樹林に囲まれ展望も無いし、団体さんが騒々しいのでさっさと立ち去る。11h17mに雷岩に出る。展望が開け、大菩薩峠までの稜線や上日川ダムを見下ろすことができる。

カントウヨメナ

カントウヨメナ

ウメバチソウ

ウメバチソウ

ヤナギラン

ヤナギラン

草原状の稜線を吹き抜ける風は心地よいが、ここから大菩薩峠までは大混雑なので我慢を強いられる。カントウヨメナやヤマハハコやマツムシソウやハナイカリなどの花が咲き誇り、クジャクチョウやキベリタテハやアサギマダラの舞う稜線は爽快だ。

ハナイカリ

ハナイカリ

青空と草原と

青空と草原と

クジャクチョウ

クジャクチョウ

キベリタテハ

キベリタテハ

ハクサンフウロ

ハクサンフウロ

大菩薩峠には人だかりができているので早々に通過し、熊沢山へと進む。少し南下するだけで誰もいない静寂が得られていいところだ。道は山頂を通らないが、南側の眺めが良い場所に腰掛けて一服し、ゼリーとクッキーを堪能する。石丸峠への下りも広々とした草原で、ウメバチソウやハクサンフウロがあちこちに咲いている。

ヤマハハコ

ヤマハハコ

石丸峠付近の草原

石丸峠の開けた草原から…

石丸峠を12h30mに通過。ここから東進していよいよ牛ノ寝通りを歩く。この先は霧に包まれて薄暗く、幽玄な雰囲気を楽しむことができそうだ。先が見通せないので何だかワクワクする。でも、かつては交通の大動脈だっただけに道は歩きやすく、細かなアップダウンも巻き道で平坦化されていて、快適な散歩道だ。

霧に包まれた牛ノ寝通り

霧に包まれた牛ノ寝通りへ

ベニテングダケ

ベニテングダケ

夏の花期は終わっている代わりに、ジメジメとした気候のせいかキノコがあちこちに出ていて楽しい。知識があればたくさんの収穫が得られそうだけど、毒が怖いので眺めるだけにとどめておこう。

reiさんに教えて頂きました

タマゴシロオニタケだそうです

ムラサキシメジ

ムラサキシメジ

reiさんに教えて頂きました

イソギンチャクみたい…ベニナギナタダケだそうです

reiさんに教えて頂きました

これもイソギンチャクみたい…ナギナタダケだそうです

牛ノ寝通り

牛ノ寝通りはこんな道が続く

13h22mに榧ノ尾山に到着。山と名が付くものの特にピークという訳ではなく、三角点が設置され刈り払いで眺めがいいポイントだ。その先を進んだ、薄暗い森の中で木の根に腰掛けて休憩。キビタキやコガラやヤマガラの声から、混群が遊ぶ中にいることを実感するが、この霧では写真を撮ることもできないのが残念だ。

ヤマジノホトトギス

ヤマジノホトトギス

14h27mに棚倉に到着。橋立への道を左に分け、小菅の湯方面へと下る。つづら折れで高度を下げ、山沢に架かる橋を渡ると牛ノ寝通りも終わり。途中一人とすれ違っただけで静かな散歩を楽しめた、牛ノ寝通りはいい道だ。畑の脇を通って15h29mに小菅の湯に到着。PH-9.9のアルカリ泉に浸かってから、17h13m発の村営バスで帰途に着いた。

牛ノ寝通り終点

牛ノ寝通り終点


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初出 : 2005年8月29日, 最終更新日:2005年9月3日

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