滝子山

滝子山・大蔵高丸 山行記録

2004年11月23日


大菩薩連嶺の南端に当たる滝子山は富士山などの展望が素晴らしい山で、特に南に派生する寂惝尾根は、岩場など多少の危険個所もありますが、マイナールートなので静かな山歩きを楽しむことができます。滝子山から大谷ヶ丸を通って湯ノ沢峠に至る稜線は明るく開けた草原が続き、展望にすぐれ、野鳥の姿もよく見かける場所です。空気の澄んだ小春日和に、この散歩道を歩いてきました。

武蔵境5h00m−(中央線)→ 笹子駅6h35m → 寂惝尾根入口7h10m → 大鹿林道7h38m → 滝子山9h45m → 大谷ヶ丸11h04m → ハマイバ丸12h09m → 大蔵高丸12h42m → 湯ノ沢峠13h02m

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川霧の笹子川

川霧漂う笹子川

早朝の中央線に乗り、笹子駅に6h35m着。国道20号線をしばらく東進する。放射冷却のために谷底にたまった冷気の中、笹子川から沸き上がる川霧が印象的な朝だ。吉久保入口バス停で左折し、中央線のガードをくぐった突き当たりを右折。稲村神社にて左折して境内の北側を進み、その先を左折して大鹿林道へ向かう。

通りすがりの車が止まって「滝子山ですか、乗っていかない?」と親切な登山者が声を掛けて下さったが、目指す登山口が異なるので辞退する。中央自動車道のを跨ぐと目指す寂惝尾根(じゃくしょうおね)と滝子山を見上げることができる。桜森林公園には数人の登山者が出発の準備をしている。その先の右折ポイントが寂惝尾根ルートの入口だ。

滝子山を見上げる

滝子山を見上げる

ススキと桜

ススキと桜

少し登ると寂惝苑と銘打った庵がある。この季節に咲いている桜があって、ススキと一緒に写すことができた。

寂惝尾根の雑木林

寂惝尾根の雑木林

つづら折れをこなすと7h38mに大鹿林道に出る。ここからはかなりの急登。コメツガや松やミズナラの木立を縫うように登り詰める。

コガラ

コガラ

やがて振り返ると富士山が三ツ峠山の上に顔を出している。登るほどに富士山がよく見えるようになるので励みになる尾根だ。標高1300mを越えるあたりから岩場が現われだし、高度を上げるほどに岩場の頻度が増す。両手両足を使えて脚への負担が軽減されるから、岩場の急登は嬉しい。

滝子山頂はもうすぐ

滝子山頂はもうすぐ

イワカガミの葉

イワカガミの葉

9h14mに標高1440mの小ピークに到達。めざす滝子山の山頂をはもう間近だ。イワカガミの葉がツヤツヤと紅葉(紫葉?)して食欲をそそる。

滝子山からのパノラマ

滝子山からのパノラマ

さらに進むと浜立山からの西尾根に合流する。ここの展望は素晴らしい。南東の丹沢、南の富士山、南西の御坂山塊、そして西の赤石山脈と一望できる。

富士山と三ツ峠山

富士山と三ツ峠山

笊ヶ岳と聖岳

笊ヶ岳と聖岳

赤石岳と悪沢岳

赤石岳と悪沢岳

この夏に歩いた蝙蝠岳, 塩見岳, それに白峰三山を眺めることができて感慨深い。

蝙蝠岳と塩見岳

蝙蝠岳と塩見岳

白峰三山

白峰三山

ほんのわずかな登りで9h45mに滝子山登頂。ここまで誰にも会うことなく歩くことができた寂惝尾根はいいルートだ。山頂からは西側の八ヶ岳や穂高連峰、北西の奥秩父、そして北にはこれから歩く大谷ヶ丸、ハマイバ丸が望める。4月に幕営した白谷丸と、その奥の黒岳や雁ヶ腹摺山もよく見える。日陰には霜が降りていて、昨夜の冷え込みを知る。

滝子山から北側の展望

滝子山から北側の展望

霜の降りた山頂

霜の降りた山頂

ハマイバ丸遠望

ハマイバ丸遠望

白谷丸と黒岳

白谷丸と黒岳

展望写真を撮っていると登山者の声が聞こえてきたので、さっさと山頂を後にする。三角点のある東峰にも一応立ち寄ってから、鎮西ヶ池へと進む。北面の道でルリビタキを発見。色が濃くて美しい成鳥だが、シャッターを押そうとするときに前方から鈴を鳴らす二人連れがやってきて、逃げてしまった。

オオスギゴケ?

オオスギゴケ?にも霜が付いている

アカゲラ

アカゲラ

滝子山・大谷ヶ丸間のコルは、多数の野鳥が集まる場所のようだ。アカゲラ, ゴジュウカラ, エナガ, ヒガラを見ることができた。なだらかな斜面を登り詰めると大谷ヶ丸に11h04mに到着。西面の眺めがよく、白峰三山を見ながらクラッカーで腹ごしらえ。4月に来たときはここでルリビタキに会えたので「今回も」と期待したのだが、一羽も見ることなく待ちぼうけ。代わりにやって来たのは単独の男性だったので、諦めて立ち去る。
北進してハマイバ丸を目指す。米背負峠では中高年の団体が騒々しいので、心に耳栓をしたまま通り過ぎる。天下石への登り返しでは、MTBを携えた二人連れとすれ違う。大菩薩南嶺も観光地になりつつあるなぁ。

ジョウビタキ

ジョウビタキ

天下石を過ぎると開けた草原が待っている。ここでジョウビタキが赤い実を付けたノイバラに遊ぶ姿を見ることができた。

これでローズヒップティーを淹れたら美味しいかな?

ノイバラの実

富士山と大谷ヶ丸

富士山と大谷ヶ丸

眺めの良い稜線歩きは気分爽快。富士山をバックに大谷ヶ丸の山容を望める。ハマイバ丸への登りで休憩中の若い男女二人連れに出会い、挨拶する。ハマイバ丸に12h09mに到着。山頂は樹木に覆われているが、その先100mほど北に眺めの良い草原があるので、そちらへさっさと進む。

エナガ

エナガ

草原で野鳥の姿を探していたら、ヨーデルの歌声を上げて先程の二人連れが追い抜いていった。しばらく待っているとエナガの群に遭遇。満足して先に進む。

草原からの展望

草原から赤石山脈の展望

大蔵高丸に12h42mに到着。ここも相変わらず展望は素晴らしい。今日は雲を全く見ない完璧な小春日和だ。 大蔵高丸から湯ノ沢峠に降りる道は霜柱が融けてぬかるんでいる。転倒の可能性が高いので一眼レフカメラをバッグにしまう。明るく開けた草原で、例の二人連れに追いついてしまった。下り坂にさしかかるところで追い抜いて、湯ノ沢峠へ進む。湯ノ沢峠に13h02mに到着。

湯ノ沢峠の草原

湯ノ沢峠の草原から白谷丸を見上げる

少し下ると避難小屋で、林道歩きが始まる。天目山温泉まで2時間の道のりだが、ここで後ろから走ってきた車が停って、「乗っていきませんか」と声を掛けて下さった。見ると、先程の二人連れ。ありがたく、甲斐大和まで乗せていただきました。車中でお名前を伺うと、プロガイドの山田哲哉さんだった。とても気さくな方で、この近辺の山のことや、プロガイドならではの苦労話・裏話などを聞くことができて、楽しかったです。ありがとうございました。13h50mに甲斐大和駅で降ろしてもらい、名刺を頂戴する。13h58m発の中央線で帰途に着いた。


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初出 : 2004年11月28日, 最終更新日 : 2004年11月30日

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