青梅線で奥多摩駅に向かうも、御岳駅を過ぎた頃から雨が降り出す。奥多摩駅から乗るバスもワイパーを稼働するほど。やる気があまりないし眠いから帰ろうかなぁ。でも、川乗橋を7h15mに下車する頃には小止みになったので、歩いてみるか。他の登山者は川苔山方面に向かうようで、鳥屋戸尾根を歩くのは私一人だけ。杉林の中、つづら折れの急登が続く。うっそうと暗い人工林だが、よく手入れされていて下草も間伐材の放置も無い。所々にウラシマソウが葉を広げている。 |
やがて霧が尾根を覆う。杉林の中は植生が単調な上、展望が一切無い五里霧中だが、これはこれで幽玄な雰囲気を楽しむことができる。湿潤な気候の方が、新緑の息吹を感じるには適しているように思う。1時間ほど登るとコメツガやブナやミズナラやアセビなど、植生が豊かになってきた。ミツバツツジとシロヤシオツツジの色の対比も見事。 |
単調な登りを続けるうちに、だんだん睡魔が襲って来た。ここ数日、睡眠時間が少なかったからかな。野鳥のさえずりが声高い中、岩に腰掛けてしばし目を閉じるとすぐに夢の中へ。複素積分の問題を解く夢を見てしまった。ハッと目覚めると5分ほど経っている。あたかも数時間熟睡した後のように眠気が吹き飛んだ。 |
9h46mに笙ノ岩山に到着。特に展望もない稜線上の小ピークであるが、ヒガラのさえずりが響き渡って楽しい。塩地ノ頭や松岩ノ頭と通過する辺りはほぼ平坦な尾根歩き。松の木を渡るホンドリスの写真も撮ることができた。 |
道に鹿の糞が多く見られるようになる。植林された杉が食害にあっている。奥多摩でも丹沢と同じように、鹿が追いつめられているのだろうか。 |
蕎麦粒山に11h13m登頂。単独行の男性1人と夫婦らしきパーティ1組に会う。灌木に覆われてあまり見通しの良くない山頂だが、南東方向は開けている。ガスが薄くなって日向沢ノ峰方向に続く稜線が見えるようになった。 |
ここでシーチキン炒飯の昼食にしよう。家であるていど調理済みの炒飯をフライパンに投入しシーチキンと併せて炒める。味はよいのだが、シーチキンのフレークが飯粒にこびりつきザラザラとした舌触りがよくないので、失敗かな。実験とはこうしたデータを積み上げることだ。 |
11h40mに仙元峠に向けて出発。岳樺の林の中でジョウビタキを発見。褐色が美しい鳥を見ることができたのに、シャッターチャンスを逃してしまい残念。露を集めた蜘蛛の巣やイロハモミジの若葉が美しい。 |
11h52mに仙元峠到着。「峠」とは名ばかりで、1440mの頂である。山頂に立つ立派なブナを見上げて感嘆する。ヒガラやシジュウカラも、この樹には安堵するのだろうか、多数集まっている。 |
仙元尾根を下る。アカゲラの低音とコゲラの高音のドラム音アンサンブルが楽しい。コガラやキバシリやヤマガラの姿もカメラに収めることができた。天気も良くなって、青空が広がり、陽が射すようになってきた。 |
標高1220m付近の支稜にある露岩からは展望が開ける。東方向の高ワラビ尾根は皆伐の跡が痛々しい。この後自然林になるといいのだけれど。 |
稜線沿いのうちはルートを見失うことは無いが、1167m点から一旦東側斜面を下って北向きにトラバースするところは、杉の人工林に間伐材が多数放置されているため道がやや分かりづらい。林業の作業の結果か多数の踏み跡が交錯しているが、1120m等高線に沿って北向きに進めばいずれ稜線に合流する。 |
その先、1004mピークの辺りは道がややわかりづらい。マイナーピークが三つあるが、第三ピークに来たところで道を外れていることに気付き、東側の巻き道に降りる。第二・第三ピーク間のコルから巻き道が分岐しているのを見落としていたようだ。やがて送電鉄塔の下をくぐる。これまで歩いて来た尾根と長沢背稜を見通すことができる。都合3回ほど送電鉄塔を通過すると、川俣集落が見えて来た。 |
浦山大日堂に14h02m到着。無事下山できたことを感謝して本殿に手を合わせる。すでにバス停には14h20m発のバスが待っていた。西武秩父駅経由で帰途に着く。 |