節刀ヶ岳 山行記録2005年11月13日 御坂山塊南西部の中で1700mを越える節刀ヶ岳 (1736m) と鬼ヶ岳 (1738m) の二つのピークは富士山を始めとする周囲の山々の展望に優れた山で、秋には紅葉を楽しめます。大石プチペンション村からこの二峰を経て鍵掛峠から西湖畔の根羽に降りるルートは、日帰りハイキングに丁度適した長さです。節刀ヶ岳に至るのに当初は淵坂峠から毛無山・十二ヶ岳を越えていくルートを計画しましたが、大石プチペンション村からのルートを見失ったので断念し、大石峠を経由するルートに変更しました。 |
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武蔵境駅5h00m -(中央線・富士急行)→河口湖駅7h10m/7h24m -富士急行バス → 大石プチペンション村7h47m → 大石峠10h00m → 節刀ヶ岳11h10m/11h55m → 金山12h03m → 鬼ヶ岳12h29m → 鍵掛峠13h10m → 根羽14h12m |
西の空に沈もうとしている火星を眺めながら武蔵境駅へと自転車のペダルを漕ぐ。中央線の相模湖付近で薄明を眺め、日が短くなったことを実感する。富士急行線と乗継ぎ、禾生付近を過ぎると先月登った九鬼山の山容を一望できる。前方にはモルゲンロートに染まった富士山が美しい。すでに5合目くらいから上が冠雪している。河口湖駅から富士急バスに乗り、車内で朝食のバナナとみかんを食べる。 |
7h47mに終点の大石プチペンション村手前の曲がり角で下車し、準備体操を入念に行ってから出発。十二ヶ岳−毛無山を結ぶ稜線へと進む道は、いきなり徒渉点が現れる。流れは細いが水量はたっぷりで、石伝いに渡るのもままならず、忍術走りのようにして勢いで渡る。 |
林道の脇では、河口湖から芦安村を結ぶ新道を建設中。大石峠の下をぶち抜くトンネルを掘っている。交通が便利になるのはいいことかも知れないが、この静かな山間が騒音と排気ガスに脅かされると思うと複雑な気持ちになる。 |
まだ残っている紅葉を眺めながら、新鮮な落ち葉を踏みしめて歩く快感。大石峠を越える道は古くからの交通路のようで、つづら折れの歩きやすいゆるやかな傾斜だ。高度を稼ぐにつれて河口湖を見渡せるようになり、やがて毛無山の稜線の向こうに富士山が姿を現すようになる。 |
秋の乾いた道端には、ドライフラワーと化したオヤマボクチや、マムシグサの真っ赤な実や、ガマズミの実を眺めて楽しむことができる。 |
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10h00mに大石峠に到着。ここは草地で眺めが良く、逆光だけど富士山の堂々とした姿が素晴らしい。当初歩く予定だった毛無山 − 十二ヶ岳の荒々しい稜線もよく見える。あのルートはアップダウンが激しくて辛そうだな。一ヶ月以上山歩きから離れて鈍った脚には、大石峠経由の楽な道がお似合いだ。 |
節刀ヶ岳へと続く稜線は樹林に覆われ、陽が差さないので涼しい。霜が融けたのか、落ち葉が湿っている。途中に東側の展望の良い露岩があり、釈迦ヶ岳から黒岳へと続く稜線を見渡せる。 |
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節刀ヶ岳の山頂が迫る辺りでアカハラの群に遭遇。こんな大群に会ったのは初めてだ。夢中になってシャッターを切りまくる。 |
11h05mに節刀ヶ岳への分岐に到着。山頂は稜線から少し外れた所にあるのだ。僅かな登りで11h10mに1736mの山頂に到着。中年の夫婦と見られる二人が昼食を摂っている。今日初めて出会う登山者だ。二人だけの昼食の邪魔をしては悪いので、私は少し下ったところにある露岩で昼食を摂ることにしよう。 |
11h55mに出発。ものの10分で金山に到着。ここで十二ヶ岳からの稜線が合流する。中年の登山者がタバコをふかしているところに、十二ヶ岳方面から相当にお歳を召したと見られる夫妻が到着した。 十二ヶ岳を越えてここまで来られるとは、健脚ですね。見習いたいものです。 |
金山から鬼ヶ岳へと続く稜線は、適度な起伏のある歩きやすい道で、随所に展望の良い場所がある。十二ヶ岳西壁の眺めが素晴らしい。紅葉の盛りならさぞ美しい眺めだったことだろう。節刀ヶ岳の山容も見ごたえがある。 |
前方には鬼ヶ岳の「角」に当たる特徴的な岩が見えてきた。パノラマ写真を撮っていたら、金山で会った老夫婦パーティに追い抜かれてしまった。健脚ですね。お二人の後を付いて急登をこなし、12h29mに登頂。標高1738mと節刀ヶ岳より少しだけ高く、今回の最高点だ。 |
山頂には中年女性二人組が昼食を摂っている。隣の雪刀ヶ岳のピークや王岳の眺めを楽しんでから、下山を始める。この時分から雲が出て日差しが陰り、寒くなってきた。 |
鬼ヶ岳から鍵掛峠への下りは、険しい岩場が随所に現れるアップダウンの激しい道だ。ロープが付いている岩場の下りもあって楽しい。中学校のキャンプで訪れた西湖も見下ろせる。あのときは、「西湖サイコー」が合言葉だったなー、なんてことを思い出す。 |
13h10mに鍵掛峠に到着。王岳への稜線を左折して離れ、根羽へと下る。つづら折れの歩きやすい下りだ。ここで十人ほどのパーティが立ち止まっているところに遭遇。女性メンバーを背負っているのは、もしかしてケガ?と心配したが、遭難訓練なんだそうです。安全意識が高いのですね。 |
新鮮な落ち葉が深く積もっていて、フカフカな歩き心地が気持ちいい。標高を下げるにつれて、紅葉も見られるようになってきた。一株だけ、鮮やかな色合いのカエデがあって眼を惹く。 |
1234m標高点を過ぎると、ブナやコナラの木立が繁る錦紗の斜面が素晴らしい。原色の派手さはないけど、こういう渋い色の紅葉が好みになってきたのは、歳を経たということなのかな。夢見心地のまま眺めを味わいながら、ゆっくりと降りた。 |
13h33mに根羽へと続く林道に出て、山歩きもここでおしまい。ススキの繁る林道を下ってゆくと藁葺きの建物が見えてきた。根羽の保存家屋のようで、藁葺きの作業中だ。ススキの原を歩いて、西湖畔の根羽民宿バス停に14h12mにたどり着く。 |
ところが西湖周遊道路にはピケが張ってあり、警備員が立っている。西湖サイクルレースのため、通行止めだという。このため、乗る予定だった14h57m発のバスは運休とのことだ。何てこった。そういうことは前もって駅などで知らせて欲しいぞ。通行止めが解除になるのは、レースが終わる15h30m以降で、その後のバスは16h07mだ。2時間近くバス停で待ちぼうけか。「西湖サイテー」という文句が頭の中をよぎる。仕方ないのでコーヒーを淹れてのんびりと時間を潰す。やがてレースが始まり、自転車集団がやってきた。ヒマなのでレースの写真など撮影する。レースの終わった15h47m頃に代行バスがやってきて、足和田出張所へと運んでくれた。足和田出張所から河口湖へ向かうレトロバスに16h20mに乗り込む。夕方になってしまったため河口湖付近は大渋滞で、駅に着いたのは17h07mで、ちょうど出発するフジサン特急を見送ることになってしまった。帰宅できたのは21h00m。下山してからが長くかかった山歩きだった。 |