沢口山

沢口山 山行記録

2005年2月13日


昨年3月に八紘嶺で出会ったS夫妻 (Ahさん・Yさん) に、再び山をご一緒させていただく機会に恵まれた。東京にお住まいのお嬢さんAkさんと共に静岡県に向かい、S家にお邪魔する。次の日に寸又峡温泉に宿泊し、沢口山を目指した。
寸又三山の一つである沢口山 (1424.8 m) は、山頂から南アルプス南部の眺めが良い山で、寸又峡温泉から登り3.5時間, 下り2.5時間ほどで日帰りできる。積雪のあるこの時期でも野鳥の姿も多く見られ、下山後には温泉も楽しんだ。

寸又峡温泉6h50m → テレビ搭7h58m → 展望所8h46m → 木馬の段9h08m → 富士見平9h42m → 鹿のヌタ場10h06m → 沢口山10h32m/11h25m → 鹿のヌタ場11h41m → 富士見平12h01m → 木馬の段12h29m → テレビ搭13h10m → 寸又峡温泉13h57m

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沢口山の山容

沢口山の山容

前日の午後に、S家から車で2時間の寸又峡温泉に向けて出発。Ahさんの運転する車に乗せていただき、大井川沿いの車窓から広大な河原や大井川鐡道を走る近鉄特急車両を眺めて楽しいドライブ。寸又峡温泉手前のヘアピンカーブからは、朝日岳や沢口山の山容を見上げることができる。Ahさん・Yさんが予約してくださった「翠紅苑」に宿泊して、食べきれないほどのご馳走と温泉を堪能し、早めの時間に就寝。

沢口山登山口

カモシカ像の建つ沢口山登山口

翌朝、6h30mに宿のロビーに集合のはずが、準備に手間取って遅刻してしまった。朝食のお弁当を受け取り、6h50mに出発。温泉街の中をてくてく歩く。天気はまずまずで、快晴とは言えないが雨の心配はないだろう。カモシカの像が立つ沢口山登山道入口から入山する。

沢口山登山案内板

沢口山登山案内板

杉林の中をつづら折れの急登が続く。たっぷりと膨らんだ杉のつぼみがたわわで、数週間後には大量に花粉が飛散することであろう。先頭を行くAhさんが、道に落ちている杉の枝をストックで払い落としながら歩いて下さっている。後続への配慮が嬉しい。ふと気がつくとカモシカがこちらを見つめている。泰然として逃げる様子もなく、ゆっくりと写真を撮ることができた。

カモシカ

カモシカに遭遇

テレビ塔の脇で朝食

テレビ塔の脇で朝食

やがて、沢口山から北に派生する尾根にたどりつく。1/25000地形図によると尾根への合流は標高1,000mなのだが、高度計は標高約800mを示している。地図に記された道は実際よりずっと南側を通っているようだ。尾根道は比較的なだらかで、落ち葉を踏みしめて歩くのは楽しい。7h58mに八木アンテナの立つテレビ塔に到着。電波を中継する先の寸又峡温泉の眺めがよい。ここで休憩し、朝食のおべんとうを広げる。

尾根の稜線は傾斜が適度で歩きやすい。右手には前黒法師岳がどーんと聳え、振り返ると朝日岳が構える中を、のんびりペースで楽しく登る。2月でも落ち葉があまり砕けずに深く積もっていることから、奥多摩などと違って歩く人が少ないことを実感する。

前黒法師岳

前黒法師岳

富士山の展望

富士山の展望

やがて残雪が現われるようになると展望所。リバウェルIKAWAスキー場の奥に富士山の眺めが得られる。ここでAhさんの指示に従ってアイゼンを装着。実はAhさん・Yさんは先週に沢口山を下見して、この先の雪の様子を調べて下さっていたのだ。本当に頭が下がります。

ツガの森の中、アイゼンで雪を踏みしめて歩くのは楽しいけど、部分的に土が露出しているところもあり、木の根を痛めないよう注意が必要。やがて「木馬(キンマ)の段」と書かれた標識に到着。東側の眺めの良い場所だ。 その先の急登は雪が少ないので一旦アイゼンを外す。9h42mに到着した富士見平から先は再び積雪があるのでアイゼンを装着。この辺りから一面真っ白で絵になるので、皆さんが歩く様子を望遠で撮りまくっていたら、その様子をYさんに撮られて「荒野の決闘」のようになってしまった。

雪の登山道

雪の登山道

鹿のヌタ場への道

鹿のヌタ場への下り

一旦「鹿のヌタ場」へと下る。ヌタ場とは泥濘みで動物が泥浴びをして寄生虫などを落とす場所のことだが、この季節は雪原になっている。その脇には「ヌタ場の大ミズナラ」と記された大木が立っている。ヌタ場の先にヤドリギがたくさん付いた樹木があり、Yさんが興味深そうに写真を撮っていた。

ヌタ場の大ミズナラ

ヌタ場の大ミズナラ

沢口山からのパノラマ

沢口山からのパノラマ

山頂脇に設置された電波反射板が見えて、山頂まではもうすぐと分かる。ひざ下くらいまでの積雪の中、最後の急登をこなして、10h32mに登頂。

池口岳

池口岳

北から東にかけての展望が素晴らしい山頂だ。聖岳や上河内岳は真っ白。その右には朝日岳と大無間山が重なっている。富士山はほとんど雲に隠れてしまった。写真を夢中になって撮っていたら、Yさんに携帯電話で「かめのさんが写真に夢中でーす」というナレーション付きでムービーを撮られてしまった。

光岳

光岳。その右のイザルガ岳に信濃俣が重なる。

聖岳

白銀の峰は左から兎岳・聖岳・上河内岳

大無間山

奥に大無間山、手前に朝日岳

野菜あんかけを載せたラーメン

野菜あんかけを載せたラーメン【撮影: Yさん】

一通り眺めを堪能したら、昼食の準備。Akさんに手伝ってもらって、Ahさんに運んでもらったEPIガスコンロでマルタイ棒ラーメンを茹でる。もう一つの私のガスコンロでは、昨日下ごしらえをしたあんかけを温める。このあんかけは、二日前にS家の晩餐でご馳走になったカニ鍋の残り汁をベースにしており、カニのエキスたっぷりで美味しい。デザートにゼリーを堪能。山頂で全員の記念写真を撮ってから下山開始。食材を消費し尽くしたザックは羽根が生えたように軽い。

帰り道は往路をそのまま引き返す。積雪の下り道もアイゼンがよく効いて歩きやすい。Akさんとご両親との会話を傍で聞いて楽しみながら、雪道を降りてゆく。ヌタ場の大ミズナラでAkさんをモデルに撮影会をしたり、途中のあちこちでおやつ休憩をしたり、ヤマガラやゴジュウカラやアカゲラなどの姿を見つけて喜んだりしながら、のんびりと下山路の行程を楽しんだ。13h57mに寸又峡温泉に帰着。温泉街の中でジョウビタキの姿を撮ることができるというおまけ付きでした。

ヤマガラ

ヤマガラ

宿泊した翠紅苑で預けていた荷物を受けとる。この宿はチェックアウト後でも大浴場の温泉に入ることができるのが登山客には嬉しい。汗を流してさっぱりしてから、Ahさん・Yさんが交代で運転する車で駅まで送っていただいきました。 S家の皆さま、何もかもお世話になり、ありがとうございました。

ジョウビタキ

ジョウビタキ


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初出 : 2005年2月21日, 最終更新日 : 2005年2月21日

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