遠山 啓 著 「算数の探検」内容を一部紹介


「算数の探検」の内容を写真つきで一部紹介します。画像をクリックすると拡大します。株式会社ほるぷ出版のご厚意により、掲載の許諾をいただきました。感謝申し上げます。

第1巻「たす ひく かける わる」より。
計算問題は退屈になりがちですが、探検という物語を設定することで子供の想像力と興味をかき立てます。やさしい問題から始めて、くり下がりのある場合、桁数が異なる場合と段階を踏んでいくのを、探検における関門になぞらえています。
また、このページではひき算の意味についても考えています。同じものどうしの「のこり」を求めるという意味 (subtraction) と、2種類のものをくらべて「ちがい」を求める (difference) という意味です。

第1巻「たす ひく かける わる」より。
かけ算の探検(山登り)です。タイルで数を具体化する、という水道方式の特徴を使っていて、筆算の原理を根源から理解できるように説明しています。タイル10個の結束1本を10の位、その結束10本を1枚にしたシートを100の位としています。これで、×3の計算はそれぞれの位の数を3倍すればよいのだということが示せます。
さらに次の段階でくり上がりが発生するときも、このタイルを使った説明が活きてきます。

第1巻「たす ひく かける わる」より。
わり算の計算をする前に、その意味を考察しています。このページでは、「1当たりの数・量」という概念で説明しています。「15個のガラス玉を3人で分けると一人当たり何個か」、を15÷3と記すと説明するわけです。
さらに次のページでは、「15個のガラス玉を一人当たり3個に配ったら、何人に配れるか」という、わり算のもう一つの意味を考えます。素直に書くと、15÷■=3となる■は何か、という問題で探検隊は悩みます。さて、どう理解したらよいでしょうか?

第2巻「いろいろな単位−1」より。
量や単位について考えるわけですが、その根本は量の比較にあります。分離量であれば一対一対応で大小の比較ができますが、連続量(ここでは異なる形の器に入った水の量)の比較はどうしましょうか。探検隊三人の案はどれも基本的に正しいものですが、直接比較のため、二つの器が遠く離れた場合の比較には向きません。そこで、共通の「なかだち」(ここでは計量カップ)を使って比較することを思いつきます。これが連続量の単位に相当するわけです。さらに…

計量カップで1はい、2はいと数えるよりも、目盛りをつけた水槽に流し込めば簡単に測定ができます。これで、水の量から長さへと対応づけができました。

第2巻「いろいろな単位−1」より。
ブラックの登場シーンです。いじわるな問題のように見えますが、これは子供が疑問に思ったりつまづいたりするポイントについて、子供自身に考えることを促すといううまいやり方です。

第4巻「いろいろな単位−2」より。
この巻では量についてさらに深く考察します。密度・濃度・速度などの内包量の概念で、ここでは粉末ジュースの濃度を例にして考えています。濃度は1デシリットル当たりの粉末の質量であることに立ち戻れば、比較ができます。このあとに濃度の加法についても言及します。外延量である水と粉末に一旦戻り、それぞれをたし算した後に濃度を計算する、という手順を踏みます。

第4巻「いろいろな単位−2」より。
平均の概念です。板で仕切られた水槽にそれぞれの量に対応する水をいれ、仕切りを外したときの高さが平均である、と具体的なイメージで理解できます。

第5巻「形とあそぼう」より。
図形のサーカスが登場する楽しい巻です。点の軌跡が線に、線の軌跡が面になるというのを空中ブランコが実演します。この次に、面の軌跡が立体になることも出てきます。

第6巻「変身箱の不思議」より。
この巻は関数の概念を説明します。最も簡単な正比例の関係を理解させるのに、金網で仕切られた水槽を使って、左側と右側の水量(二つの変数)の対応関係を調べます。

第7巻「ふく面の算数」より。
方程式についての巻ですが、前半では人形の背丈を求めるという問題を人形劇で楽しく解いていきます(最初は抽象的な式でなく、人形という具体物をつなげたり差し引いたりします)。後半では、まず未知数を箱で書いた方程式を導入し、次に箱を書くのが面倒なのでxやyで未知数を書くようにします。等式の性質については、天秤を使って説明します。

第7巻「ふく面の算数」より。
二元連立方程式ですが、探検隊のメンバー同士で箱を使って問題を作り解きあうという遊びの要素を盛り込んでいます。

第8巻「集合だいすき」より。
さまざまな属性(背番号, 性別, 眼鏡, etc.)をもったロボットたちが登場します。「偶数の番号のロボット集合!」と呼びかけるとその集合ができ、合併集合や共通集合などの概念を知ることができます。


もどる