大室山

大室山・畦ヶ丸 山行記録

2006年2月4日


丹沢北部の大室山 (1587.6m) は錐型の山容が格好良く、里からも目を惹くお気に入りの山です。山頂に至るルートは多々ある中で、久保吊橋を始点とする北東尾根は歩く人が少なく静かなコースで、ほぼ単調な登りで所要時間をかけずに山頂に到達できます。ここから加入道山・モロクボ沢ノ頭を経て畦ヶ丸まで至る神奈川・山梨県境の西丹沢稜線は、樹間から周囲の山々の眺めを楽しみ、野鳥の声を耳にしながら歩ける、静かで落ち着いた雰囲気の散歩道です。冷え込みの厳しい週末に、浅く積雪したこの山々を歩いてきました。

調布5h34m−(京王線)→橋本5h58m/6h20m−(神奈中バス)→三ヶ木6h50m−(神奈中バス)→月夜野7h30m/7h50m−(富士急バス)→久保小学校前8h05m→ 久保分岐8h56m → 大室山10h58m/11h56m → 加入道山13h05m → モロクボ沢ノ頭14h38m → 畦ヶ丸15h00m → 西丹沢自然教室16h11m

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大室山の山容

バスの車窓から見上げる大室山

橋本駅からバスを3本乗り継ぐ。月夜野から乗った富士急バスはスクールバスのようなもので、一日に1本だけ、しかも休日運休だが、土曜日に運行してくれる貴重な存在だ。久保小学校で下車し、久保吊橋の袂から歩き始める。

久保吊橋

久保吊橋

この冬一番の冷え込みで空気がぴーんと張りつめた感じ。道に雪はなく、しっかり固まった凍土は滑ることなく歩きやすい。杉や檜が植林された稜線の急登を、体の温まるペースで進む。 8h56mに久保分岐で大渡からの道と合流。時給300m(単位時間あたりの上昇量という意味です)のペースを上回っていて、なかなか快調。展望が利かない針葉樹帯で、野鳥も見かけず、道草を食っていないからかな。

久保分岐

久保分岐

標高1200m付近の積雪

標高1200m付近の積雪

標高1000mを超えるあたりから残雪が現われる。暖かい日が今週は続いたからだいぶ融けたのだろうか、予想より雪がずっと少ない。それが昨晩からの冷え込みで固く締まって歩きやすい。高度を上げるほどに稜線が全面的に雪に覆われるようになってきた。冬山はこうでなくてはね。葉を落とした広葉樹林帯に来たためか、ツグミやウソやヤマガラなどお馴染の野鳥の姿も見られるようになってきた。林間から眺める蛭ヶ岳の山容が格好良い。

ツグミ

ツグミ

蛭ヶ岳

蛭ヶ岳

檜洞丸

檜洞丸

相模湾と伊豆大島

相模湾と伊豆大島

大室山展望ポイント

大室山展望ポイントからの眺め

10h58mに大室山に登頂。樹林に囲まれて展望が得られない山頂なのでそそくさと通り過ぎ、5分ほど先のベンチへと進む。ここには展望ポイントがあって、蛭ヶ岳や檜洞丸などの丹沢主峰, キラキラと光る相模湾に浮かぶ伊豆大島, 箱根の山々, 愛鷹山, 富士山, そして赤石山脈が一望できる。歓喜に溢れ、写真を撮りまくる。

富士山

富士山

聖・赤石・悪沢岳

聖岳・赤石岳・悪沢岳

塩見岳

塩見岳

白峰三山

白峰三山。手前は三ッ峠山。

展望ポイントの裏手からは、雲に隠れた八ヶ岳, 奥秩父, 大菩薩連嶺, 奥多摩の山々も眺めることができて、やまおたくが時間を忘れて山座同定に没頭できる場所だ。
ベンチに腰掛けて昼食のサラスパを茹で始めると、犬越路方面から背の高い西洋人の単独男性が登ってきた。「コンニチハ。ミナミアルプスハ、ドッチデスカ」と尋ねられるので、展望ポイントから見えることを伝える。どれが北岳か、なんてことも聞かれた。富士山以外の山にも興味が向いているのですね、何だか嬉しいな。

奥多摩・大岳山

奥多摩・大岳山

大菩薩南嶺の彼方に八ヶ岳

大菩薩南嶺の彼方に八ヶ岳

大菩薩連嶺と奥秩父

大菩薩連嶺の彼方に奥秩父の山々

雲取山

雲取山

ものすごい勢いで冷めてゆくサラスパをお腹に詰め込んで、11h56mに出発。加入道山への下りは雪解け水が再氷結して滑りやすいけど、木の根を痛めるアイゼンは我慢して着けずに、慎重に降りてゆく。13h05mに加入道山に到着。シジュウカラやゴジュウカラやヤマガラやエナガなどの野鳥が多く見られるので、道草を食ったこともあって遅いなぁ。

シジュウカラ

シジュウカラ

ゴジュウカラ

ゴジュウカラ

ゴジュウカラ

ゴジュウカラ

大室山を振り返る

大室山を振り返る

進路を西から南へと変え、白石峠へと下る。白石沢から下山してもいいのだけど、天気が良くて気持ちいいし、畦ヶ丸まで行けば西丹沢の稜線踏破ルートが大室山から山中湖まで繋がるので、行ってみよう。

蛭ヶ岳

蛭ヶ岳

バン木ノ頭への登りで、白と茶の2頭の犬に遭遇。敵意も露に、私に対峙して盛んに吠える。首輪を付けているけどリードも飼い主もおらずに放たれている。猟犬だろうか。茶が近付いてきたけど、ここで敵意を見せると喰い付かれそうなので、口笛を吹いて喉元をなでると、大人しく通り過ぎた。もう一方の白は警戒心を解くことなく、登山道を逸れて通りすぎ、2頭は吠えながら斜面を勢い良く走っていった。登山者のいる山で猛々しい犬を放つなんて、非常識な飼い主もいるものだ。人に危害を及ぼさないことを切に願う。

ウソ♀

ウソ♀

ガビチョウ

ガビチョウ

モロクボ沢ノ頭に14h38mに到着。ここから畦ヶ丸へは20分程の登りだ。15h00mに登頂。延々と歩いてきた、大室山からモロクボ沢ノ頭に至るまでの稜線が見渡せて、感慨深い。

コゲラ

コゲラ

ジョウビタキ

ジョウビタキ

アセビの生茂る道を善六ノタワに向けて急降下。崩壊しかけの痩せた箇所もあって要注意だ。一方でバスの発車時刻16h20mが迫っているので、少し急ぎ足で下る。善六ノタワを過ぎると木の階段が多く、よく整備されていて歩きやすい。あっという間に高度を下げて本棚に到着。本棚の滝を見に行きたいところだけど、以前見たことがあるし、今日はバスの時間に追われているのでパス。下棚の滝も同じ理由でパスして、16h11mに西沢出合(西丹沢自然教室)に到着した。

ところがバスの時刻表を見ると、16h20mのバスは土日は運休になっている。時刻表がいつのまにか改正されたようだ。17h05mの最終バスまで待つ羽目になるんだったら、滝を見に行けばよかったな。前もって調べておくべきでした。ぽつねんとバス停で待っていると雪まで降り出して寒々しい。そんな姿を見かねたのか、西丹沢自然教室の管理人さんが「寒いからこっち入ったら」と声を掛けてくれる。暖かい事務所にお招き頂いて、発車時刻までお菓子やお茶を飲みながら寛ぐことができた。親切なお気遣い、ありがとうございます。


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初出 : 2006年2月11日

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