大菩薩嶺

大菩薩連嶺 山行記録

2005年4月30 - 5月1日


大型連休ということで久しぶりにテント泊したいと考えていたところ、Sさんと山歩きをする相談がまとまった。Sさんはテント山行は初めてということなので、キャンプ設備がある場所を検討し、大菩薩嶺山麓の福ちゃん荘を幕営地に選定。ここを拠点として一日目は空身で大菩薩嶺に登り、二日目は大菩薩南嶺を湯ノ沢峠まで歩いて天目山温泉に下山するルートを計画した。大菩薩峠は人気の高い場所で混雑が心配されたが、この季節に幕営する人は多くないようだし、大菩薩南嶺は敬遠されるようで、連休中とは思えない静寂の山歩きを楽しむことができた。

第1日 (4月30日) 調布駅5h27m−(京王線・中央線)→ 塩山駅7h23m/7h28m → 裂石7h55m/8h00m → 上日川峠10h45m/11h00m → 福ちゃん荘11h30m/12h30m → 雷岩13h24m → 大菩薩嶺13h44m → 大菩薩峠14h54m → 福ちゃん荘15h20m

第2日 (5月1日) 福ちゃん荘4h40m → 大菩薩峠5h50m → 石丸峠6h25m → 小金沢山7h52m → 牛奥ノ雁ヶ腹摺山8h31m → 白谷丸10h32m → 湯ノ沢峠11h25m/11h35m → 天目山温泉13h30m

経路図はこちら

previous山行記録一覧へ

第1日(4月30日)

5h27m調布発の京王線で高尾まで行き、中央線に乗り換えて塩山に7h23m着。7h28m発の山梨交通バスで大菩薩峠登山口(裂石)に7h55m着。ラジオ体操第一を踊って出発する。
やや強い陽射しを浴びながらキツイ傾斜の林道を歩くと汗ばんでくる。テント装備の私達は歩みが遅く、身軽な登山者たちにどんどん抜かされていく。上日川峠まで自動車で入山する人も多く、数多くのマイカーやタクシーが歩行者を尻目に抜き去ってゆく。でも、道の脇に咲くヤマブキやスミレを愛でながらのんびりと行くのも悪くないものだ。

ヒトリシズカ

ヒトリシズカ

エイザンスミレ

エイザンスミレ

ヘビイチゴ

ヘビイチゴ

丸川峠への登山口を左に分けて少し行くと、車道を離れて登山道を歩くようになり、ホッと落ち着く。道端にはタチツボスミレやエイザンスミレやアオイスミレなど、スミレが咲き誇っている。木陰に咲くヒトリシズカも可愛らしい。黄色の花はヘビイチゴかな?これが赤い実を付けるのだから面白い。

10h45mに上日川峠に到着。ロッヂ長兵衛のテラスで休憩させてもらう。水を汲んで11h00mに出発。 上日川峠から福ちゃん荘まではゆっくり歩いても30分もかからない。アスファルトの林道を歩く人も多いようだが、私達はあえて土の登山道を行く。

ツツジ

ツツジも鮮やか

ヒガラ

ヒガラは多かったです。

11h25mに福ちゃん荘に到着。受付で幕営を申し込む。幕営料は一張あたりいくらということが多いけど、ここでは一人当たり300円ということで、600円を納める。キャンプ場の小高い場所にはすでに一張あり、適度に距離をあけた場所に設営。ホラー映画に出てきそうな姿をした栃の樹があって面白い。設営を済ませたら昼食。出発前に作っておいた鮭チャーハンをフライパンで温め直すだけの簡素な食事だが、ヒガラが寄ってきて声高に囀る中で食べるのは楽しい。

12h30mにほぼ空身で大菩薩嶺に向けて出発。雨着やファーストエイドを手提げ布袋で携えるという、登山者にあるまじき姿で唐松尾根を登ってゆく。登頂を終えた人とすれ違うこと多数。落葉松林を過ぎると笹原の急登。見晴らし良く、上日川ダムを望めるようになってきたが、その先にあるはずの富士山は春霞に隠れて見えない。
13h24mに雷岩に到着。その先、コメツガの林には残雪も見られる。13h44mに大菩薩嶺登頂。まあ、単に最高地点というだけで展望も良くないので、さっさと雷岩に戻ろう。

雷岩から大菩薩峠方面

雷岩から大菩薩峠方面

旧峠付近から大菩薩嶺

旧峠付近から大菩薩嶺を振り返る

雷岩から大菩薩峠までは笹原の明るい稜線漫歩だ。霞で遠望が得られないのは仕方ないが、明日歩く小金沢山や牛奥ノ雁ヶ腹摺山くらいは見通すことができる。
旧峠に建つ避難小屋でちょっと休憩。陽射しが強い中を歩いてきたので、小屋の中は涼しくて心地よく、10分ほど眠ってしまった。 再出発して14h54mに介山荘の建つ大菩薩峠に到着。人気の高い場所だが、時間帯が遅いためか比較的静かな稜線歩きを楽しめたのは運が良かった。

岩塊斜面とネズコ

岩塊斜面とネズコ

大菩薩峠から福ちゃん荘へ至る道は、介山荘への荷揚げ車が通るためか道幅が広く、歩きやすい。斜面の沢筋は冷涼な風が通るためか、凍結破砕作用による岩塊斜面が形成され、ネズコやコメツガの森になっている。

15h40mにテントに帰着。キャンプ場には計4張で、連休中でも静かに眠れそうだ。隣のテントに泊まる男の子が私達のテント近くで遊んでいたようで、「入り口を作ったよ」と声をかけてくる。見ると、テント近くの木に枝を渡してゲートのようになっていて、「ここから通って下さい」と案内してくれるのが面白い。以後、水場などへ行く際には、この子に失礼のないようにこのゲートを通るよう、Sさんと申し合わせる。
羽虫が入らないように素早くテントに潜り込み、寝袋に横たわって歩き疲れた体を癒す。夕食は、薄くスライスした餅をアツアツのあんかけに通して食べる「餅しゃぶしゃぶ」。狭いながらも楽しい我が家で夕餉を堪能し、暗くなってから就寝。

今晩の宿

ホラー映画風の樹のそばに幕営


第2日(5月1日)

大菩薩峠と朝焼け

朝焼けの大菩薩峠

3h00mに起床。朝食に比内鶏スープラーメンを食べると体が暖まり、目が覚める。荷造りとテント撤収を済ませて4h40mに出発。朝焼けを背にした大菩薩峠をめざす。5h50mに大菩薩峠到着。

バイカオウレン

バイカオウレン

熊沢山までは苔生すコメツガの森。バイカオウレンがあちこちに群生し、目を楽しませてくれる。6h14mに熊沢山に到着。富士山がうっすらと認められる。笹原の斜面を石丸峠へと降りる。

熊沢山から石丸峠・狼平方面

熊沢山から石丸峠・狼平方面

ルリビタキの飛翔

上日川ダムを背景に飛ぶルリビタキ

ルリビタキのメスが飛び立つのを目撃。石丸峠で上日川峠への道を右に分け、その先で牛ノ寝通りへのルートを左に分ける。狼平の草原で休憩し、ゼリーとクッキーを堪能する。ここで今日初めて登山者とすれ違う。大型連休なのに、大菩薩南嶺は静かなものだ。

狼平からは下笹の茂る疎林帯を登り、7h52mに小金沢山に到着。笹藪を速足で進むのも楽しいもので、8h31mに牛奥ノ雁ヶ腹摺山に到着。だんだんと富士山に近付いて、山容がくっきりとしてきた。
賽の河原までは笹原をもったいないほど下り、川胡桃沢ノ頭へと登り返す。稜線は苔生すコメツガの森。いくつかサブピークを通り過ぎて10h20mに黒岳に到着。白谷丸との間にあるブナやミズナラが疎らに立つ窪地にはバイケイソウが芽吹いている。

牛奥ノ雁ヶ腹摺山から富士山

牛奥ノ雁ヶ腹摺山から富士山

白谷丸

白谷丸

白谷丸には10h32mに到着。見晴らしのよい山頂に腰を下ろし、クッキーとドリップコーヒーを味わう愉悦。花崗岩の砂礫が敷き詰められたサブピークにも行ってみる。富士山や雁ヶ腹摺山の眺めが素晴らしい。

ウグイスの背中

ウグイスの背中

ウグイス

ウグイス

ウグイス

さかんに鳴いてました

湯ノ沢峠への急降下。南斜面のガレ場に今にも落ちそうな岩があるが、去年のまま踏みとどまっているようだ。先週に引き続き、ウグイスの姿も見ることができて嬉しい。自動車でアクセスできる湯ノ沢峠からは家族連れで歩く人も多く、4歳くらいの女の子のペースの速いことに驚く。

無人島とヤブレガサ

無人島の椰子…でなくヤブレガサ

湯ノ沢峠を11h25mに通過。水場を過ぎて、焼山沢沿いの道を下る。苔生す岩に生えたヤブレガサは、南の小島に立つ椰子の木みたい、とSさんが言うのが面白い。ミヤマエンレイソウ, ヨゴレネコノメ, ヒゲネワチガイソウ, ジロボウエンゴサク(or ヤマエンゴサク)などの花を楽しむ。

ミヤマエンレイソウ

ミヤマエンレイソウ

おっ、オコジョが沢に水を飲みに来たところに遭遇。残念ながらカメラを構える間も無く逃げられてしまったが、可愛い動物に会えるのは楽しいものだ。

ヨゴレネコノメ

ヨゴレネコノメ

ジロボウエンゴサク

ジロボウエンゴサク or ヤマエンゴサク

ヒゲネワチガイソウ

ヒゲネワチガイソウ

やがて林道に出て楽しい山歩きもここまで。1時間以上の林道歩きは、この山行で最も疲れた箇所だ。13h30mに天目山温泉に到着。ゆっくりとやまと天目山温泉のアルカリ泉に浸かり、15h03mの甲斐大和駅行き村営バスで帰途に着いた。


感想やコメントの書き込みはこちらへどうぞ
初出 : 2005年5月4日, 最終更新日 : 2005年5月7日

ページの先頭へページの先頭へ

山行記録一覧へ山行記録一覧へ