あぜがまる

丹沢 畦ヶ丸 山行記録

2004年2月28日


ついにED(特殊低分散)中望遠180 mmレンズを購入してしまった。今ままで使っていた135 mmレンズは重いし色収差が激しいので、EDレンズが欲しかったのだ。中望遠レンズは山の遠望の撮影に適しているし、野鳥だって狙える。早速写真を撮ってみたくなり、日だまりの丹沢・畦ヶ丸 (1292.6m) に出かけてみた。コースタイム5時間のところをのんびりお散歩気分で6時間以上かけて歩いた、ぐうたら山行記。

登戸6h17m−(小田急線)→新松田7h15m/松田7h23m−(御殿場線)→谷峨7h37m/7h41m−(富士急行バス)→大滝橋8h25m→ 一軒屋避難小屋9h56m → 大滝峠上10h33m → 畦ヶ丸山頂11h39m/12h20m → 善六のタワ13h10m → 本棚沢出合13h50m → 西丹沢自然教室14h35m

経路図はこちら

previous山行記録一覧へ

Deer Hunters

ディア・ハンター

登戸から小田急線・御殿場線を乗り継ぎ、谷峨から西丹沢自然教室行きバスに乗る。大滝橋で降りたのは単独行の中年女性と私だけ。ハンターが多数集結して「有害鳥獣駆除実施中 発砲に注意」という幟を掲げている。「どこへ行くの?」と聞かれたので、「畦ヶ丸に行きます。鹿狩りですか?」と問い返すと「そうだよ」とのこと。丹沢では鹿が増えすぎて食害などが問題になっているため、頭数の調整が必要なのだろう。「私も撃たれてしまうのでしょうか?」と冗談を言うと、「はは、人間は撃たないよ」と真剣な目で返される。気を悪くされたのでしたら申し訳ないです。

長い根を伸ばす樹

長い根を伸ばす樹

大滝沢沿いの道は東海自然歩道の一部でもあり、よく整備されている。根を垂直方向に3メートル以上に延ばしている樹を見つけたので撮影。植物の生命力はたいしたものだ。
少し進むと大滝を見下ろすポイントに到着。水量が多い立派な滝で、滝壺も大きな渕になっている。滝や砂防ダムで川面の高さが登山道に追いつき、沢筋を歩くようになる。せせらぎの音に混じって野鳥の囀りも聴こえ、癒される気分だ。どこで啼いているのだろう…声はすれども姿は見えない。

大滝を見下ろす

大滝を見下ろす

ヤマメ

小さな渕にいたヤマメ

小さな渕にヤマメの魚影を見つけた。魚止めの滝の上流にいるのは不自然だから、放流されたのだろう。河原には三椏の木が蕾を膨らませていて、春の訪れを感じさせる。この川辺でヤマメに警戒心を解いてもらうまでのんびりと時間を過ごす。

ミツマタのつぼみ

三椏の蕾

一軒屋避難小屋

一軒屋避難小屋

少し進むと一軒屋避難小屋が建っている。立派な造りで、すぐ上流には岩清水が湧いている、暮らしやすそうな環境だ。こういう避難小屋泊まりの山歩きもしてみたい。
道はしばらくステタロー沢沿いを行く。清流と撚り合うように徒渉を繰り返す楽しい道が続く。

ステタロー沢沿いの道

ステタロー沢沿いの道

源頭を過ぎると、沢筋を離れて大滝峠上をめざす急登だ。それまで聴こえていた鳥の囀りが、沢筋から離れると止んでしまった。暑くなってきたので上着を脱ぎシャツ一枚になるが、ズボンは冬用のものしか履いてきていないので、汗をなるべくかかないようにゆっくり歩くことを心がける。
稜線に出るとそこが大滝峠上。富士山が大きく、しばし見入る。2週間前に登った三ツ峠山も視認できた。雪解けの泥道を覚悟してきたが、稜線も十分に乾いていて歩きやすく、春のお散歩気分でのんびりと登る。植生はブナが寡占してきた。

富士山

富士山の展望

シジュウカラ

シジュウカラ

「チチジャージャー」という地鳴きが聴こえるので立ち止まる。ヤマガラだ。写真を撮っていると、シジュウカラ, ゴジュウカラ, コガラも確認できた。望遠レンズで野鳥たちの姿を追う。今日の山歩きはこんな風に道草をくってばかり。

シジュウカラ

シジュウカラ

シジュウカラ

シジュウカラ

ゴジュウカラ

ゴジュウカラ

ゴジュウカラ

ゴジュウカラ

畦ヶ丸避難小屋

畦ヶ丸避難小屋

上り坂が急になってきて、めざす畦ヶ丸が近づいてきた。11h30mに避難小屋に到着。ちょっと中を偵察。薪ストーブやトイレもある立派で清潔な小屋で、もし避難小屋ミシュランなんてものがあったら星をもらえるであろう。避難小屋から少しあるくだけで畦ヶ丸山頂だ。11h40mに到着。

北岳と間ノ岳

北岳と間ノ岳遠望

山頂のベンチでチーズフォンデュの昼食にしよう。ブナの木に囲まれて展望はよくないが、おかげで風がなく料理しやすい。富士山を眺めながらの幸せな昼餉のひととき。伊予柑とコーヒーを堪能しながら、樹間から見える北岳と間ノ岳, 御正体山や大室山, 大蔵高丸・ハマイバ丸などの山嶺を山座同定する。野鳥の声や姿を確認できなかったのはちょっと残念。

大室山

大室山が間近に

山頂から1 kmほど降りたところにあるベンチのあたりででシジュウカラの姿を見たので、カメラに収めたいので呼び寄せようと、昼食で出たパン屑や伊予柑の皮を倒木の上に置き、遠くからしばらく待ってみるが、10分ほどしてもやって来ないのであきらめる。なかなか野鳥に遊んでもらえないなあ。 善六のタワ付近では、馬酔木が南側斜面に群生している。畦ヶ丸の山名由来である、この山を特徴づける木だ。きっと4月には花が見事なのだろう。

アセビの群生

群生する馬酔木

善六のタワから南向きに延びる尾根をひたすら下る。尾根からはようやく畦ヶ丸の山容を望めた。この尾根にも馬酔木がたくさん生えている。やがて本棚の滝の音が聞こえてくると、わずかな下りで西沢に降り立つ。本棚沢との出合に13h50mに到着。

畦ヶ丸の姿

畦ヶ丸の姿

本棚の滝

本棚の滝

「本棚の滝 5分」という道標があるのでザックをデポして行ってみる。5分もかからずに滝が見えてきた。水量豊かで立派な滝。落差50mあるそうだ。滝壺に吹き渡る風と飛沫の涼しさが心地よい…なんて、2月であることを忘れてしまう。
本棚沢から少し下ると下棚沢の出合。ここにも「下棚の滝 5分」という道標があるので、またも行ってみる。本棚の滝より水量は少ないものの、落差はほぼ匹敵する立派な滝だ。

下棚の滝

下棚の滝

なにかの幼虫

何かの幼虫。これがザックにびっしり付いていた。

戻ってザックを見ると、体長2 mmくらいの小さな黒い虫が多数付着している。よく見るとザックを置いた地面の苔や落ち葉にたくさん蠢いているではないか。落ち葉に付いているところを見るとダンゴムシか何かの幼虫だろうか。ザックを叩いて払い落とすが、何匹かつぶしてしまった。

西沢は下るにつれて水量を増してゆく。何ヶ所かの砂防ダムの堰堤を越える箇所の他は緩やかな河原歩き。程なく西丹沢自然教室のキャンプ場が見えてきた。中川川に架かる吊り橋を渡ると、ちょうど帰りのバスが到着したところだ。コースタイムに1時間上乗せして歩くだけで、雪のない早春の丹沢の山歩きにも趣きが得られた。こういう道草山行は楽しい。次はもっと野鳥の多い時期に来て、写真の腕を磨きたい。

中川川に架かる吊り橋

中川川に架かる吊り橋

バスを中川で途中下車して、中川温泉「ぶなの湯」に立ち寄る。お湯に浸かっていると肌がすべすべに…って、pH=10というアルカリ性の湯に皮膚のタンパク質が溶けるだけのことなんですけど。温泉の効能というのは一種の迷信だと思っているが、まあ、気持ちよいのは確かなので気にしないでおこう。新しい下着に着替えてさっぱりした気分で帰途につく。


感想やコメントの書き込みはこちらへどうぞ
最終更新日 : 2004年2月29日

ページの先頭へページの先頭へ

山行記録一覧へ山行記録一覧へ